実は日本では、ビジネス×テクノロジーの接続は、既に実現できている企業が少なくありません。また、ビジネス×クリエイティブの接続は「デザイン思考(デザインシンキング)」導入のムーブメントもあり、最近意識されるようになりました。テクノロジー×クリエイティブについては、新しいものづくりでは「デザインエンジニアリング」として採用されています。しかし、この3つ全てをバランスするのが難しいのです。

 プロダクトマネジャーはこの3要素をバランスする役割も持っています。組織によっては、B・T・Cのそれぞれの領域のうち、いずれかで担当者が十分にいない、または全くいないこともあるでしょう。もし誰もいなければ、こぼれ球を拾うように、プロダクトマネジャーがその領域を補完しなければなりません。プロダクトの成功のためには、この3つの領域でトレードオフをどう解決するか考え、意思決定する必要があるのです。

 実は旧来型の組織でも、成功する企業では同じような役割を誰かが担っていました。特にグローバルで成功したプロダクト、例えばホンダのスーパーカブや、ソニーのウォークマンなどが輩出された影には、組織のトップやそれに近い人たちがプロダクトマネジャーと同様の役割を担い、B・T・Cの3要素をバランスさせたイノベーティブな決断があったといわれています。

 最近の日本企業の経営陣を見ると、過去の成功例の踏襲しかできていないことが多いように思います。しかしグローバルに進出し、プロダクトを成功に導くためには、BTCモデルのような考え方が必要です。

プロダクトマネジャーに必要なのは
新しいスキルを学ぶ力

 ここまで見てきたとおり、事業やプロダクトの成功に責任を負うプロダクトマネジャーは、そのために必要な多岐にわたる要素を理解し、ビジネス、エンジニアリング、デザインについて一通り知識を有しているのが理想です。ここでは、プロダクトマネジャーのキャリアについて、考えてみましょう。

 優秀なプロダクトマネジャーは「究極のゼネラリスト」とも呼ばれます。では、プロダクトマネジャーになるためには、全てのポジションの技能と経験が必要かというと、そういうことでもありません。重要なのは組織を率いてプロダクトを成功させること。それも必ずしも、1人で全てを行わなければならないわけではないのです。