ソフトウエアをパッケージとして販売していた頃には、カスタマーサポートとは「必要がなければないほど良いもの」でした。製品は売り切りで、顧客との関係は基本的には継続するものではなく、サポートも専門部隊が独立して行うものとされてきました。

 しかし、プロダクトがサブスクリプション型へと変わった現在は「売れば終わり」ではなく、プロダクトを使い続けてもらうことでカスタマーが価値を生み出せるようにと、考え方も変化しました。ユーザーとの関わりが消極的に捉えられてきたサポートとは異なり、顧客との接点を維持し続ける「カスタマーサクセス」は、より前向きに顧客と接するようになっています。

 また以前は、プロダクトの使い勝手や感想を知るためには、担当営業が顧客に電話をかけたり訪問したりして接触することで、情報を得る必要がありました。インターネットを通じてプロダクトが提供されるようになった現在では、ユーザー行動がプロダクトの改善につながる接点として重視され、常にデータが収集され、活用されています。

 画面の操作中に不自然にとどまっているユーザーがいれば、チャットボックスがポップアップして何か分からないことがないか問いかけ、ヘルプへ誘導するといったことも当たり前に行われるようになりました。しかもこれらの動作の一部はAIによるボットが担当している場合もあり、サポートはプロダクトの一機能として組み込まれるものとなっています。

プロダクトマネジャーは
「何を作るか」を決断する役割を担う

 こうした現代のプロダクトにおいて、プロダクトマネジャーに求められることは多岐にわたります。プロダクトを支えるチームの中心的存在として、プロダクトマネジャーにはクロスファンクションな役割が要求され、その役割の幅広さから「ミニCEO」と呼ばれることもあります。

 プロダクトマネジャーがCEOと違う点は、人事権がないことです。しかし人事権はなくとも、プロダクト、事業には責任を持って、チームをリードする役割があります。大企業ではある程度、ほかの担当者と役目を分担することもありますが、小さな組織では細かなタスクまで拾い、遂行が可能な社内外の人に仕事を依頼したり、委託したりといったことを、全て自分で行う必要があります。

 プロダクトを取り巻く、チームのほかのメンバーについても見てみましょう。プロダクトづくり、特にソフトウエア開発では、エンジニア、デザイナー、QA(Quality Assurance:品質管理)エンジニアが動く部分が大きく、彼らが主要なメンバーといえるでしょう。