儲かる農業 攻める企業#14Illustration:saemilee/gettyimages

「農業の王道は?」と問われれば、穀物、野菜、畜産、果樹……。いやいや待ってほしい。忘れてもらっては困るのが、消費者の心を癒やす花卉や観葉植物の存在だ。特集『儲かる農業 攻める企業』(全17回)の#14では、ニッチな品目を攻めて高い収益を誇る中小規模農家に稼ぐ秘訣を聞いた。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

鳥取の新農家が開拓した
多肉植物の「新規市場」

 ガーデニング、ハーブ、多肉植物、インターネット販売――。都市部から遠く離れた山陰地方で、はやりのキーワードに関連する農業を実践しているのが、鳥取県倉吉市のハニーミントファームだ。

 霊峰大山から心地よい風が吹き下ろすわずか計15 アールのビニールハウスで、売上高は6000万円に及ぶ。その秘訣は所狭しとハウスに並ぶ鉢物が「年4〜8回転」もする超効率農業と、自ら開拓した市場にある。

 ダイヤモンド編集部が「担い手農家アンケート」で選出した「中小キラリ農家ベスト20」の7位にランクインした。収益性が高く、安定性もあることが上位入りの決め手となった(「中小キラリ農家ベスト20」の詳細は特集#10『すごい中小農家ランキング!1位は非農家出身32歳、京都府の若手ホープ』を参照)。

 販路の95%はインターネットを通じた販売だ。ワンストップでの購入を好むネットユーザーを満足させるべく、多肉植物(エケベリアなど)、ハーブ、花壇苗などガーデニング用の鉢物のアイテム数はなんと約350種もある。

 儲けの秘密は、ハニーミントファーム社長の松本弦さんが開拓した「ある市場」にある。