3月下旬の時点で、世界的に株価が反発するなど金融市場にはいく分、落ち着きの兆しが出始めたようにみえはする。ただ、欧米に加え、アフリカ各国などの新興国でも感染が広がり始めた。今後の状況によっては、一段と世界経済全体の減速懸念が高まり、韓国をはじめ海外経済に依存してきた国への逆風が強まる恐れがある。

足元の新型コロナウイルスの感染状況
世界経済への影響は楽観視できない

 世界全体を俯瞰(ふかん)した際、新型コロナウイルスの感染が経済に与える影響は楽観できない。わが国や中国の感染状況は、どちらかといえば小康状態を保っている。1月23日から封鎖された中国の湖北省武漢市は、4月8日に封鎖が解除される。

 武漢では肺炎患者の8割程度が退院し、新たな感染者の発生もかなり食い止められているようだ。中国当局の発表を額面通りに受け止めれば、これまでのところは人の移動を徹底的に抑え込むことによって、新型コロナウイルスの感染を食い止めることはできている。人の移動を制限することによって感染の急拡大を抑えることに関しては、わが国にも当てはまるだろう。

 しかし、日中以外の国・地域の感染状況は予断を許さない状況にある。

 まず、韓国では文政権が感染対策を徹底できていない。感染の勢いは弱まりつつあるように見えはするものの、国内外で人の移動が制限され経済はかなり混乱している。

 さらに、イタリアでは累計の死者数が世界最多になってしまった。感染者の急増に医療制度が追い付いていない。イタリアは、感染を食い止めるために経済活動の事実上の停止に踏み切らざるを得なくなった。

 ドイツ、フランス、スペインの感染状況も深刻だ。2月のユーロ圏PMI(購買担当者景況感指数)は、感染拡大が景気を落ち込ませたことを克明に表した。製造業、非製造業ともにPMIは50を下回った。のみならず、これまで景気を支えてきた非製造業の業況が、製造業以上に悪化してしまった。ユーロ圏各国が救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)を活用して各国の資金繰り支援を重視し始めたことなどを見ると、新型コロナウイルスの感染拡大とともにユーロ圏全体の経済が急速に冷え込んでいる。

 さらに、世界の政治・経済の基軸国家である米国でも感染が急増している。3月13日、トランプ大統領は非常事態宣言を出した。ニューヨーク州ではクオモ知事が、日常生活に欠かせない事業以外の店舗やオフィスを閉鎖し、全従業員を自宅待機させるよう指示を出した。にもかかわらず、米国では感染者が増えている。