『日本書紀』に、神武天皇が遠征する際に、丹生川《にうがわ》に酒壺を沈め、「この川の魚が酔って木の葉のように流れてくれば、大和を平定できるだろう」と占い、果たしてそのようになったことを臣下が見届け、その場所を魚見石と言うようになったとあります。

鮎汁
【材料】鮎…1尾/塩…少々/出汁…500ml/酒…小さじ1/塩…小さじ1/3/醤油…小さじ1/三つ葉…3本
【作り方】 ①鮎は頭、ワタ、ウロコを取って洗い、食べやすいサイズの筒切りにする。②鍋に出汁を入れて温め、煮立ったら1を入れて、アクを取りながら中火で煮る。酒、塩、醤油で味付けし、鮎に火が通ったら椀によそい、三つ葉を乗せてフタをする。

 この時の魚が鮎だとは書かれていませんが、木の葉のように泳ぐ魚、ということで、鮎に白羽の矢が立ったのではないかと想像されます。

 また別の項に、神功皇后が新羅出兵の際、備前国松浦の川のほとりで釣り糸を垂れ、勝敗を占ったところ、年魚《あゆ》が釣れたとあり、そこから鮎の字が使われるようになったという説もあります。

鮎田楽
【材料】鮎…1尾/塩…適量/赤味噌…大さじ2/みりん…小さじ1/酒…小さじ1/柚子皮のすりおろし…少々/芥子の実…少々
【作り方】 ①鮎は肛門の手前を軽くしごいてフンを出し、洗って串を打ち、ヒレに化粧塩をして両面に軽く塩を振って焼く。②小鍋に赤味噌、みりん、酒、を入れて弱火で練りながらなめらかになるまで煮、柚子の皮のすりおろしを加え、柚子味噌を作る。③1の片面に2を塗り、芥子の実を振りかけて、味噌に少し焦げ目がつくまで焼く。※田楽用の味噌は、木の芽味噌などお好みで。
器提供:漆屋くろえ

 以前、筆者が直接、鮎漁を生業にしている方から伺った話では、昔は鮎が川を上っていく量で、米の豊作・凶作を占ったとのことでした。

 ちなみに、中国では「鮎」とはナマズのことなのでご注意を。