過去の例を見ると
早期回復は無理か

今回の暴落は、回復に時間がかかる可能性が高い。誰もが「底値で買って高値で売り抜けたい」と思うものだが、それを狙いすぎると大失敗するかもしれない Photo:PIXTA

 相変わらずコロナウイルス禍の影響で市場は各国とも大きく乱高下している。高値から見るとアメリカの場合は40%近くまで下落したし、日本も30%以上は下がったので、これは下落ではなく、暴落と言っていいだろう。

 通常はこれぐらいの下落率であれば、概ね底値圏に到達したと考えていいが、今回の場合はまだまだ予断を許さない。今後、感染者および死者がどれぐらい増えるかも極めて深刻で重大な問題だが、経済の面から見れば、経済活動の縮小がどこまで企業業績に影響を与えるかが見えないからだ。

 しかしながら、どんなに暴落しても永遠に下がり続ける相場はあり得ないので、いずれどこかで底を打つことになるだろうが、立ち直るには時間がかかりそうな気がする。欧米各国では、数週間前とは打って変わって、国境の閉鎖や外出の禁止といった策が打ち出されてきている。ある程度は雇用の保障を政策として打ち出してきてはいるものの、今後、欧米では消費や投資が減少することは間違いないし、それは日本でも同様だからだ。

 そんな折、3月24日の日経新聞「経済教室」に米コロンビア大学の伊藤隆敏教授の記事が出ていた。その中に「経済ショック後の株式相場下落率と回復期間」と題した表があり、1987年のブラックマンデー、2000年からのITバブルの崩壊、2008年のリーマン・ショックといった、この30年ぐらいでの大きな暴落の下落率と、下落前のピークを回復するのに要した期間が紹介されていた。

 それによれば、一過性の下落で終わったブラックマンデー以外では、いずれも下落率は50%前後で、ピークを回復するのに要した期間は5~7年程度となっている。さらに下落した期間も1年以上のケースがほとんどだ。今回のコロナショックは、暴落期間がまだ1~2カ月であることを考えると、急ピッチで戻すのは難しい可能性も視野に入れておくべきだろう。

 さて、筆者はエコノミストではないので、マーケットの予想はしないが、仮に相場低迷が続く場合、個人投資家にとって大事だと考えることについて述べてみたい。前回(「コロナ暴落で、積立投資中の人が一番『やってはいけない』こと」参照)は積立投資をしている人が注意すべきことについて書いたが、今回は個別株投資について考えてみたい。