日本経済に対する打撃がもっと大きかったのは、1991年のバブル崩壊です。1980年代後半の金融緩和で、市場にじゃぶじゃぶとマネーが出回り、土地や株の価格が実体以上に押し上げられました。1990年3月の金融引き締めをきっかけとして、翌年ついに不動産価格と株価が崩壊したのです。不良債権となった不動産や貸出金は銀行全体で100兆円規模に上り、それを少しずつ損失処理する過程で、「失われた10年」と呼ばれる経済の氷河期が訪れました。

 実際の経済損失の大きさと、そこから回復するまでの期間の長さを考えると、バブル崩壊の影響はリーマンショックを上回ります。しかしバブル崩壊は、主に日本国内に影響範囲が留まりました。そのことを考えると、世界経済全体が崩壊を始めているコロナショックと比べて、まだ被害は小さかったと捉えるべきでしょう。

最悪だった世界恐慌ほどの
危機には発展しない?

 世界規模で起きた経済危機といえば、現代史において最大の打撃を与えたのが1929年の世界恐慌です。その打撃たるや、1940年代まで世界を揺るがし、ナチス台頭、ひいては第二次世界大戦勃発の引き金となったほどの甚大さでした。

「大恐慌は世界的なバブル崩壊だった」とも言えますが、この最悪の経済危機が21世紀の現代において再び起きることはありません。理由は、大恐慌をきっかけに近代マクロ経済学が確立されたからです。

 現在、日本や米国が検討している財政出動は、大恐慌当時に経済学者のケインズによって提案されたもので、今ではその効果が後の経済学者によって立証されています。そのような対策が行われるという点で、大恐慌のような最悪の経済危機がコロナによって起きることはないでしょう。

 そう考えると、世界で同時発生しているコロナショックに規模が最も近いショックといえるのは、1973年に起きたオイルショック(第一次)かもしれません。第四次中東戦争をきっかけに、それまで1バレル=3ドルだった原油価格がわずか3カ月で4倍に高騰しました。

 その結果、「狂乱物価」と呼ばれるインフレが起きました。私は12歳のときにオイルショックを経験していますが、それまで10円で買えたチロルチョコレートが20円になり、子ども心ながらに「寒い時代が来たな」と感じたものでした。