だが、2015年、厚生労働省は離島・へき地以外でも遠隔診療ができる方向に舵を切り、オンライン診療システムの開発が進んだ。2016年から株式会社メドレーや株式会社 MICIN(マイシン、当時の社名は情報医療)などが相次いでアプリを開発した。一時期、アプリ開発・販売会社は10社程度あったという。

 いまは前述の2社と株式会社インテグリティ・ヘルスケア、および、株式会社オプティムとMRT株式会社が中心となっていると聞く。約3000の病院、診療所、クリニックが導入しているようだ。

 2018年になると、遠隔医療の中に日常的でリアルタイムな医師と患者間の(1)オンライン診療(2)オンライン受診勧奨(3)オンライン健康医療相談(医師以外の医療者も可能)の枠組みが設定された。

(1)のオンライン診療のよさについて、黒木医師は「患者さんとのコミュニケーションでは対面と差を感じません。むしろ、診察室より自宅のほうがリラックスして話しやすいという患者さんもいます」と話す。医師も画面の後方から患者の生活の様子が垣間見えるため、アドバイスしやすい面があるという。

 オンライン診療では、驚くことに「咳をしてもらって痰がからんでいる」「のどに炎症がある」「アトピー性皮膚炎などの皮膚の病気の改善具合」なども画面や音を通してわかるという。

 一方、画面を通しての診察では触診や聴診、検査ができない、においを感じられないなどの限界もある。「やはり、急性期(症状が出始めたとき、例えば、ひどい頭痛、胸がひどく痛い、熱が下がらない、呼吸が苦しい、やけどをした、骨折したなど)は、どうしても診察室へ来ていただく必要があります」と黒木医師は言う。

 自由診療で需要が高いのは、セカンドオピニオン、ピロリ菌検査や性病検査、不妊治療等の検査結果やその説明を聞くこと。また、低用量ピル、ED(Erectile Dysfunction:勃起不全)、AGA(Androgenetic Alopecia:男性型脱毛症)などの継続的な処方は何度も医療機関へ行かなくてすむため好評という。会社の会議室や車内等から診察を受ける人もいるそうだ。静かな環境のほうが適している。

(2)のオンライン受診勧奨では、利用者が体調面の気になることを医師に相談し、受診の必要性やアドバイスを得られる。例えば、いまの時期は「新型コロナウイルス感染症のオンライン医療相談」ができる。その場合、特に重症化しやすい持病の方向けに専門医からの簡単な助言をまとめた(表参照)。あくまでも、参考としてほしい。

「新型コロナウイルス感染症のオンライン医療相談」で重症化しやすい人への簡易的な助言、ただし濃厚接触の可能性がある人は自治体が定める帰国者・接触者相談センターへ連絡すること。「新型コロナウイルス感染症のオンライン医療相談」で重症化しやすい人への簡易的な助言、ただし濃厚接触の可能性がある人は自治体が定める帰国者・接触者相談センターへ連絡すること。
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 こちらは自費診療(外房こどもクリニックの場合は2000円)だが、いすみ市在住者は医師会の要望によって、いすみ市役所が費用を全額助成している。ただし、新型コロナウイルス感染症かどうか、確定診断をするためにはPCR検査を受ける必要があるため、オンラインではできない。