Uさんに厚生年金の加入期間があるのか定かではありませんが、国民年金だけだと満額で年間78万円程度しか受け取れません。現在の収入より12万円ほど手取り額が減少しますが、生活費をさらに減らして年金の範囲内に収めることができれば、過度に老後を心配する必要はないでしょう。
以上の試算は、詳細なデータがないことから、推測を交えてこれまでの筆者の経験値から行っています。収入が多い、あるいは支出が少なければ、老後のゆとりは増す一方、収入が少なかったり、支出が多かったりする場合は老後の余裕がなくなってしまいます。
収入は夫を含めUさん自身でコントロールするのは難しいので、ゆとりある老後のためには支出のコントロールが鍵になります。ちなみに、高齢無職世帯(2人世帯)で、世帯主が75歳以上の場合の月の支出額は24万6000円程度(2018年の総務省、家計調査報告)となっています。ぜひ参考にしてみてください。
投資の割合が資産の5割超に!
これ以上の投資は老後のリスク
最後に、ご相談には「少額でもいいのでリスクを承知の上、リターンのある投資もしてみたい」との記載があります。ただ、現在すでに金融資産残高全体に占める投資の割合が5割を超えています。ご年齢や金融資産残高を考慮すると、これ以上投資に回すのはリスクが高すぎます。
ですから、投資に関しては、つみたてNISA、iDeCoで十分でしょう。見直すとすれば、外貨定期預金は投資コストが高く、また税制上のメリットもないうえ、外貨といえども金利が低いので投資のうまみはあまりありません。時期を見て他の投資商品に変更する余地はありますが、現預金の割合が低いため、解約などをした場合は、全額「円の定期預金」にすべきです。なぜなら、すでにiDeCoなどの積み立てのほか、国際分散投資を月々3万円も行っており、年々投資残高は積み立てにより増加していくからです。
老後を迎えるにあたっては、老後資金をしっかりと確保するために、金融資産に占める投資の割合が高すぎないか、定期的に見直すことが大切でしょう。
(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)
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