老後をラクにする4つのポイント

「そんなの絶対無理」という松尾さん。必要貯蓄率を下げるにはどうすればよいのか。

 第一に、当たり前だが「手取り年収」を増やすこと。年収を増やせば老後の年金も増えるので、非常に有効なのだ。対策としては、今はやりの副業も考えられる。最も手っ取り早いのが共働きをすることだが、松尾さん世帯はすでに共働きなのでこの手は使えない。妻が専業主婦の世帯であれば、パートとして働きに出てもらうよう説得するところから始めたい。

 気を付けたいのは、収入の増加につられて、生活水準まで上げないことだ。岩城氏は「妻のパート収入分は全て子どもの学費に充てるなど、生活費と分けて考えることが大切です」と強調する。

 次に考えたいのが、「現在資産額」の見直しだ。今ない資産を無理に増やすことはできないが、今後のライフイベントでの出費を見直すことで、資産額のマイナス分を少なくすることができる。

 例えば、岩城氏が人生の二大出費と呼ぶ教育費と住宅費。住宅費がローンであれば、出費の総額を抑えるために、頭金の比率を上げ、とにかく早期に返済することが大切。過度な借り入れもご法度だ。「住宅ローンの借入額の目安は、毎月の返済額が月々の生活費で賄える水準です。修繕積立金などの諸費用も考えて、それまでの家賃支払い額以下を返済額の基準としましょう」(岩城氏)

 必要貯蓄率を下げるには、「老後生活費率」を減らす、すなわち、老後に使う生活費そのものを少なくするということも有効ではあるのだが、窮屈な生活を強いられる可能性もあり、できれば避けたいと考える人も多いだろう。

 ならば思い切って、物価の安い郊外に住み替えるのも一手だ。あるいは、親の介護も考えて実家に戻るというのも、必要貯蓄率を下げるという面では効果てきめんだ。

 実際のところ、そこまでしなくても、現役時ほど消費をしなくなり、子どもも独立するので生活費は少なくなるケースも多いようだ。

 最後に考えたいのが、「現役年数」を増やすということ。再雇用制度などもあり、65歳まで働くことはもはや一般的になっている。今後ますます高齢者雇用の促進は進む。現在の会社で長く働くことを考えることも大切だし、退職後のセカンドキャリアを考えておくのもいいかもしれない。

 今後は年金も退職金も過度には当てにできない。老後2000万円問題などが騒がれ、安定した老後のためにどんな準備をすればいいのかすら分からず不安を抱えている現役世代は多いはずだ。「老後にこれだけの生活を望むなら、これだけの貯蓄が必要だ」という現実的な数字をざっくりと知ることで、漠然と抱いている老後への不安をなくすことができる。自分の人生の“現在地”を把握した上で、しっかりと資金を積み立てていくことが重要だ。

◇この記事はダイヤモンド・オンラインとYahoo!ニュースによる共同企画記事です。昨年、大きな波紋を広げた「老後2000万円問題」。老後に向けた資産形成の重要性が高まっている一方、まだまだ準備できていない30~40代が多くいます。なぜ貯金、貯蓄ができないのか、その実情と課題を経済メディアの目線から伝えます。