タンパク質チャージで
“超やる気モード”に

 では、タンパク質が足りなかったり枯渇したりすると、具体的にどんな悪いことが起きるのだろうか。

 よくいわれるのが、タンパク質は筋肉や髪、肌の材料になるため、ひと言でいえば、「足りなければ、体が衰えてしまう」ということだ。40代、50代で筋肉が次第になくなってくれば、顔や体がゆるんで締まりがなくなり、肌はハリがなく、髪がパサつくなど見た目が老け、精悍さがなくなってしまう。ビジネスパーソンにとって見た目は重要であり、こうなってしまうのは由々しき事態だ。

 そして、一般的にあまり知られていないことだが、タンパク質不足はメンタル面にも重大な影響を及ぼす。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室の客員研究員で赤坂ファミリークリニック院長の伊藤明子氏はこう明かす。

「タンパク質は20種類のアミノ酸でできている。20種類のうち約半分は体内で合成されるが、残りは体の外から摂取しないと不足してしまう。そしてアミノ酸は、実は脳内の神経伝達物質の材料にもなる。例えば、トリプトファンというアミノ酸は、気分や調子を上げ、“幸せホルモン”ともいわれるセロトニンの材料になるし、チロシンやフェニルアラニンといったアミノ酸は、やる気が出るドパミンや集中力を高めるノルエピネフリンなどの材料になる」

 したがって、タンパク質が足りなくなると、気分が乗らず、やる気も出ず、集中しづらくなることもある。逆にいつも適切な量のタンパク質が維持されていれば、ノリノリで、バリバリ仕事ができる“超やる気モード”になれる可能性が高まる。

 タンパク質は筋肉やエネルギーになるだけではない。やる気スイッチを入れ、ビジネスでのパフォーマンスを上げるために欠かせない栄養素なのだ。

 ただ、疲れた時や頭の回転を上げたい時、よくいわれるのは、「脳のエネルギーは糖質なので、チョコレートやラムネを摂取するといい」ということだったはず。これに対し、伊藤氏は、「確かに、糖質が脳のエネルギーになるのは事実」と話す。

 しかし、一方で次のように釘を刺す。「糖質を取ればその分、血糖値が急に上がる。すると、血糖値を下げるためにインスリンが分泌され、今度は逆に血糖値が急激に下がる。結果、眠くなったり、疲労を感じたりするようになる。少し摂取するならまだいいが、食べ続けるとパフォーマンスが下がるので要注意」。また、甘いものの食べすぎは脳内で“糖化”という老化現象を起こし、認知症リスクを高める点もデメリットだ。

 どういった糖質の取り方がベストかといえば、「必ず、タンパク質、良質な脂質(魚の油やオリーブオイルなど)と混ざった形で摂取すること」と伊藤氏は言う。タンパク質、脂質と共に取れば、血糖値の上昇が緩やかになり、エネルギーが長持ちするからだ。すなわち、甘いスイーツによる急場しのぎは避け、糖質に関しても、バランスの良い食事の中で摂取することが肝心なのだ。