グローバル化反動の
きっかけとなったコロナショック

 1月、中国の湖北省武漢市で新型コロナウイルスが発生し、感染は日米欧をはじめとする世界全体に拡大している。米国では外出制限の緩和が模索され始めた。金融市場参加者の多くが日々の各国の感染者の増減や為政者の見解に注目している。そうした見方は、コロナウイルスの感染の影響に焦点を当てたものだ。

 同時に、コロナショックによって、これまで以上の勢いでグローバル化の無理、課題、リスクなどが表面化している。各国の資本主義のあり方が大きく変容しつつある。その意味で、日々の感染動向や対策に関する議論だけでなく、コロナショックがグローバル化の反動を勢いづかせ、現在、世界経済は大きな変化の局面を迎えているといえる。

 その一つの要素に、世界全体での人の移動(動線)の遮断がある。

 中国は武漢を封鎖するなどして、ひとまずは感染を抑えることができた。足元、中国の感染には一服感が出ており、経済の活動水準は急速に回復している。中国でのiPhone出荷台数は2月の50万台から3月には250万台に回復した。今後、中国は補助金支給などによって雇用を守るとともに、何とか国民の不満を押しとどめる政策をとることになるだろう。

 一方、日米欧はウイルスの影響が一段と深刻化するとみられる。欧米では、都市封鎖などにより経済活動が止まってしまった。一時的に経済活動を犠牲にしてウイルスの拡散を止めなければならない。世界のモノ・サービスの取引が大幅に停滞する中、今のところ、中国の供給力を賄うだけの需要は見当たらない。原油についても、OPECプラスの減産合意に関して不十分との見方が出始めている。

 さらに感染拡大が世界各国の課題や問題も浮き彫りにした。

 米国ではトランプ政権がオバマケアの廃止を目指したこともあり、医療保険に加入していない(所得事情などからできない)人が増え、感染拡大に拍車がかかってしまった。イタリアや韓国では中国との関係を重視するために感染対策が遅れたとの見方もある。南米、アジア、アフリカなど防疫体制が十分ではない地域でも感染が拡大している。