新型コロナウイルス対策を巡って、さまざまな地方自治体が中央政府の方針を破り、独自の対策を打ち出す事例が増えている。そして安倍晋三首相のお株を奪うかたちで、東京都の小池百合子知事や大阪府の吉村洋文知事、北海道の鈴木直道知事ら多くの都道府県知事が存在感を高めてきた。そんな今こそ、「小異を捨てて大同につく」ことで「地方主権」を掲げた新党を立ち上げ、新型コロナウイルス感染拡大の終息後の政権交代を目指すべきだ。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
新型コロナウイルスの感染拡大が
安倍政権の命取りになりかねない問題に
2012年12月、第2次安倍政権が誕生する直前に、この連載では、国際感染症についての論考を出した。「感染症対策も安全保障問題」「感染症に国境なし、感染症対策に国境あり」と書いていた。その時は、国際的な感染症が安倍晋三政権の命取りになりかねない問題になるとは、夢にも思わなかった(本連載第49回)。
5月6日が期限となる緊急事態宣言について、期間を延長するかどうかが焦点となっている。西村康稔経済再生相は、「まだ本格的な議論は行われていない。専門家に分析・評価をしっかりしてもらい、対応を考えていきたい」と述べた。安倍政権内では、事業者の休業や学校の休校への影響が大きいことから、数日前には判断すべきだという意見が出ている。
特に、全国の学校現場では休校延長となるのかどうか不安が広がっている。既に愛知県では、県立高校などの休校期間を来月末まで延長することを決めた。この連載では、ズルズルと休校の延長が繰り返されるのならば、小・中学校、高校、大学で一斉に「9月入学・始業」にしたらいいと主張した(第238回)。
全国の学校現場から、「9月入学・始業」を求める声が上がっている。これに対して、萩生田光一文部科学相は、「あらゆることを想定しながら対応したい」と述べ、休校が長期化する際の選択肢の1つとして検討していくことを示唆した。「コロナ禍」は、明治以来の大改革すら可能にするほどのインパクトを社会に与えている。