さらに小池都知事は、国が否定し続ける休業補償について、都独自の「協力金」制度を立ち上げた。飲食店やスポーツジム、学習塾など幅広い業種が対象となり、支給額は1店舗なら50万円、複数店舗なら100万円で、連休明けの5月7日以降に支給する予定だ。
そして、上記の休業要請「協力金」960億円を含む総額3574億円の補正予算案を発表した。都知事が「あらゆる手立てを総動員する」「命を守る最前線の人たちを守る予算だ」と強調した予算案。そこには、飲食店が新たに宅配やテークアウトを始める際の費用への助成金4億円、中小企業への融資枠を1兆5000億円分確保する関連費用1964億円が盛り込まれた。
医療面でも、病院の治療機器の拡充や感染者との動線分離などの整備費14億円のほか、軽症者らが療養する宿泊施設の借り上げ費108億円、医療機関などへのマスク提供に34億円、医療従事者の宿泊先確保の支援金に6億円を計上している。
これは、本連載で前回主張した「家にいて人に会わないこと」と「医療物資」にリソースを集中させる「ウイルスと戦うための戦時予算」を、東京都が実行するということではないだろうか(第239回・P7)。
大奮闘する大阪府の吉村知事を励ます
「#吉村寝ろ」がトレンド入り
大阪府の吉村洋文知事も大奮闘している。府知事は、緊急事態宣言の発動前から週末の外出自粛を府民に求め、厚生労働省による感染者数の非公式の試算をあえて公開して、独自の判断で兵庫県と大阪府の間の週末の往来自粛を呼びかけた(第237回・P5)。
緊急事態宣言の発動後は、東京都に遅れつつも休業要請に協力した個人事業主には50万円、中小企業には100万円の支援金を出すと発表。大阪府は東京都と比べて圧倒的に財政力が劣っており、吉村知事は当初「財源不足でできない」としていた。だが、大阪市の松井一郎市長と協力し、協力金の費用を市町村と折半することで財源を何とか確保した。
興味深いのは、吉村府知事が「外出自粛支援策」として独自に打ち出した飲食宅配代行サービスの利用キャンペーンだ(大阪府「外出の自粛促進に向けた取組みを行う事業者及び取組内容について」)。
利用者は「dデリバリー」「出前館」「LINEデリマ」といったフードデリバリーサイトで料理の配達に対応する大阪のレストランやカフェを検索し、好みの料理やデザートを選んで注文する。その後、配達人が自転車やバイクなどで料理を利用者に届ける。
支払い方法はキャッシュレス。1000円以上の利用で、500円分のポイントが貯まり、次の出前の利用時に500円分が割引になる。しかも、5月6日までの期間内であれば回数は無制限だという。