ウルトラ・ラーニングの「荷造りリスト」

 最初のステップは、どんなプロジェクトであっても、優れたスタート地点を探すためのメタ学習(連載第3回参照)のリサーチを行うことである。

 事前に計画を練っておくことで、多くの問題を回避でき、スキルが身につく前から学習計画を大幅に変更する、などといったこともなくなる。

 リサーチは、長い旅行に向けて荷造りするようなものだ。必要なものを持ってくるのを忘れて、旅先で買い物しなければならないかもしれない。

 しかし、事前に考えて荷物をきちんと詰めておけば、後々手間取ることはない。ウルトラ・ラーニングの「荷造りリスト」には、少なくとも次の項目を含める必要がある。

1 学習するトピックとその大まかな範囲を検討する

 当然ながら、何を学びたいのかを理解しなければ学習プロジェクトを始めることはできない。

 それが明白な場合もあるが、どのスキルや知識が最も価値があるかを特定するために、さらに調査が必要な場合もある。

 もし、目標が何らかの手段を学ぶことなら(起業する、昇進する、原稿を書くための調査をするなど)、「何を学ぶ必要があるのか」を学ぶことは重要であり、それはどのくらい広く・深く学ぶ必要があるかも示してくれるだろう。

 私は、最初は狭い範囲から始め、学習を進めるにつれて広げることをお勧めする。

 「簡単なトピックについて15分間会話をするのに十分な標準中国語を習得する」は、読み書きから歴史の勉強まで含まれる可能性のある「中国語を学ぶ」よりも限定的な目標となる。

2 使用する主なリソースを決める

 これには教科書やビデオ、クラス、個人指導、ガイド、さらには指導者、コーチ、一緒に取り組む仲間まで含まれる。学習プロジェクトのスタート地点を決めるのは、このタイミングだ。

 たとえば「パイソンでのプログラミングに関する入門書を読み、練習問題を完了させる」や「アイトーキーのオンライン個人指導を通じてスペイン語を学ぶ」「スケッチを描いて絵の練習をする」といった具合である。

 一部のテーマでは、静的なマテリアルによって学習の進み方が決まるが、練習を支援してくれるマテリアルもある。

 いずれにしても、学習を始める前にその特定、購入、借用、あるいはユーザー登録を行う必要がある。

3 同じテーマの学習に成功した人物のベンチマークを探す

 人気のある学習テーマであれば、たいていはオンラインフォーラムが存在していて、以前にその知識やスキルを学んだ人々がアプローチを共有している。

 そうした場を利用して、自分の習得したいテーマをすでに習得した人々が、そのためにどのような学習を行ったかを確認すべきだ。

 これは彼らの行動を完全に真似しなければならないという意味ではない。しかし、そうすることで、重要なものをすっかり見落としてしまうのを防ぐことができるだろう。

4 「直接的な練習」となる活動をする

 皆さんが学ぶ知識やスキルは、最終的には必ずどこかで使われることになる。

 他の知識やスキルを学ぶために使われるということもあるだろう。スキルをどのように使うかを考えることで、それを実践する機会をできるだけ早く見つけることができる。

 直接的な練習が不可能な場合でも、そのスキルを使う際に精神面で求められるポイントを模倣できる練習を見つけるべきだ。

5 予備の教材を用意する

 使用する主な学習リソースや手法を決めるだけでなく、予備の教材を確認しておくことをお勧めする。

 予備教材は、特定のツールや教材のセットが有効であることがわかっていても、最初からその量に圧倒されてしまいたくない場合に適している。

 (本原稿は、スコット・H・ヤング著『ULTRA LEARNING 超・自習法』〈小林啓倫訳〉からの抜粋です)