新型コロナウイルスの感染者が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の一件は、感染者712人、死者13人に及ぶ惨事となった。この悲劇から得られる教訓を導き出すため、感染者のデータに基づいて統計的に分析。そこから「7つの教訓」が見えてきた。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)
ダイヤモンド・プリンセス号の
コロナ関連データを統計的に分析
時計の針を戻すこと今から約3カ月前――。2月3日、日本政府は、新型コロナウイルスの感染者が発生して入港先を探していたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の入港を認め、検疫を始めた。しかし、感染の可能性がある3711人もの乗客・乗員を受け入れる施設はない。感染の検査も間に合わない。結局、乗客・乗員全員が下船できたのは約1カ月後の3月1日。感染者712人、死者13人が発生する惨事となった。
これは乗船していた方々には恐ろしい体験であり、亡くなった方のご遺族や関係者の方々の心中は察するに余りある。また、乗客・乗員の救命に努力され、海外からの言われなき批判まで浴びた日本の当局・医療関係者の方々には大変な経験だった。
そんな中で私たちにできることといえば、この一件から得られる教訓を今後に生かすことだろう。実際、閉鎖空間において新型コロナウイルスがどのように振る舞うかを理解しようと、すでに多くの解説や研究がある(Smriti Mallapaty, “What the cruise-ship outbreaks reveal about COVID-19,” Nature NEWS, 26 MARCH 2020. 「クルーズ船で何が起きた」NHK政治マガジン、2020年3月4日特集記事)。
そこで筆者もダイヤモンド・プリンセス号の一件における新型コロナウイルス感染者のデータを基に統計的に分析。7つの教訓を導き出した。