法則3:モノやサービスへの事前期待で、お客様を分類する

 自社のモノやサービスのお客様を架空のペルソナに例えてイメージする方法をご紹介しましたが、この考え方をさらに進めるとどうなるでしょうか。

 最新のサービスサイエンスでは、事前期待によって顧客セグメントを定義する研究が行なわれています。ワクコンサルティングの諏訪良武氏によると、「業種やサービスの種類によって顧客をセグメント化する異なる軸が見つかる」と指摘しています。先のペルソナはイメージによるものですが、事前期待の分類軸で分けるこの方法はよりお客様の期待に沿ったものになると考えられています。

 たとえば、自動車保険に対するお客様の事前期待は、安心のレベル(そこそこ安心⇔できるだけ安心)と価格(なるべく安価⇔高価でもよい)、自律と依存(任せたい⇔自分で理解したい)の3つの事前期待の分類軸でセグメントが定義できます。そしてこの3つの軸で分類すると、4つの顧客セグメントに分類できます。

 まず、はじめの(1)できるだけ安心で高価でもいい、そして契約内容は任せたいという顧客セグメントでは、安心感や共感性、好印象が重視され、ブランドや信頼関係が必要となります。

 2つめの(2)できるだけ安心で高価でもいい、そして契約内容は理解したいという顧客セグメントでは、安心感や正確性が重視され、豊富な知識や情報で正しく安心感を醸成する必要があります。

 3つめの(3)なるべく安心で、できるだけ安価で、そして契約内容は理解したいという顧客セグメントでは、安心感、正確性が重視され、豊富な知識や情報で納得感を醸成する必要があります。

 最後の(4)安心より安価が希望で、契約はしっかり理解したいという顧客セグメントでは、何よりも正確性を重視し、必要十分な知識や情報で過剰になりがちな期待を縮小化する必要があります。

 保険会社は、この4つの顧客セグメントごとに顧客満足度を高めるための具体策を検討して実施していくことになります。このようにお客様を事前期待の内容によってセグメント分けして捉えることで、より詳細なアプローチをお客様に仕掛けることができるのです。あなたの会社のモノやサービスを利用するお客様にも試してみるとよいと思います。