今も工場で研修、自社イベント実施
目先の利益優先に社員から不信感

 さまざまな企業が独自で感染拡大防止策や営業自粛をする一方で、それに反するような体制を続ける会社の方針に憤りを感じている社員も少なくないようだ。

「昨今新型コロナウイルスで騒がれていて、イベントなどの自粛要請が出されているのにもかかわらず、自社のイベントや行事を少しでも自粛や延期といった体制を取らないことから社員に対する配慮が見受けられない」(女性:SIer・ソフト開発・システム運用)

「今回のコロナウイルス流行に伴い、同業他社などは早々に従業員と顧客の安全に配慮し、時短営業や休業を発表したが、この会社は都知事から外出自粛が出ているにもかかわらず、営業をした。その日の朝礼で社長自ら放送で営業の理由について述べていたが、理解しがたいものであった。目先の利益ばかりを気にしているとしか思えない。リーディングカンパニーが先陣をきって休業にすべきだったのではないか。この一件で従業員や顧客から不信感を抱かれていることは間違いない」(女性:小売〈百貨店・専門・CVS・量販店〉)

「圧倒的に、社員のことより業績を大事にしています。今現在、日本は緊急事態宣言を発令され、不要不急の外出自粛を要請されています。(中略)そんな中、競合もリモートワークに移行済みの中、この会社はいまだに新入社員を工場に集め、研修を実施しているとの事です。そこになんの大義があるのでしょうか。(中略)同業他社、業界問わず、殆どの企業は1~2週間前からリモートワークに移行済みです」(男性:自動車・自動車部品・輸送機器)

「まず本社の人間を毎年数回でいいので店舗で働かせてみてはいかがでしょう。本社が考えたやり方だとやりづらかったりできないことがあるのを実感してもらわないと何も変わらないです。今回のコロナでも本社の人間だけ在宅で、現場には時間短縮や休業も検討中ですしか言ってこない。会社の中で一番危険なのは不特定多数と接してる現場の人間ですよ(後略)」(女性:日用品・化粧品)

 今回取り上げた社員クチコミから、例えばIT企業であっても対応が進んでいる企業、進んでいない企業があるなど、同業界や同職種であってもコロナ禍の対応が異なる現状が見えてきた。つまり、経営者の危機管理意識によって、大きく対応が異なるのが実態だ。対応によって、社員に「経営者の本質」がバレてしまった企業も多いのではないか。

 コロナの収束はまだ見えないが、危機的な状況での対応が社員の今後のやる気や信頼につながるのは社員クチコミからも明らかだ。コロナのみならず今後も未曽有の災害などに襲われる可能性は十分にある。危機から社員をまもりつつ、事業を継続する。多くの企業経営者には、コロナをきっかけに、そうした事業継続計画(BCP)の重要性を改めて考えて、柔軟な働き方の価値を認識してもらいたい。