就職情報サイトの「キャリタス就活」を運営するディスコの調査によると、2021年卒学生の5月1日時点の内定率は50.2%と半数を超えたものの、前年(51.1%)をやや下回った。同調査で昨年より8.3ポイント高い34.7%の内定率となった4月1日時点以降、緊急事態宣言後の就職・採用市場はどのような状態に置かれているのか。さらに、それを踏まえて今後の就職戦線はどうなるのか。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
内定出しは4月に大きく鈍化
インターン経由での内定が増加
21年卒学生の採用活動は、もともと例年よりも早期化していた。今年から、大学3年生の3月に採用情報の広報活動解禁、大学4年生の6月に選考開始という経団連の「就活ルール」が廃止に。現在は政府主導でルールが維持されているが、実際はこれを契機に売り手市場下で「優秀な学生の早期囲い込み」をする企業が増えたからだ。
さらに今年は、新型コロナウイルスの感染拡大がなければ、7月に東京オリンピックが開催予定だった。オリンピック前には採用を終わらせたいと考える企業も多く、前出のディスコが行った調査によると、内定率は3月1日時点で15.9%(前年13.9%)、そして4月1日時点で34.7%(前年26.4%)と前年を大きく上回るペースで推移していたほどだ。
しかし、状況はコロナの感染拡大や緊急事態宣言の発令によって大きく変化。昨年の内定率は4月1日(26.4%)から5月1日(51.1%)の期間で24.7ポイント上昇したのに対し、今年は4月1日(34.7%)から5月1日(50.2%)で15.5ポイントの伸びと大きく鈍化している。
対面での会社説明会や面接が難しくなる中でも、内定に結びついているのは、やはりインターンシップなどを通して早期選考を進めていたケースだ。
「5月1日時点で、学生が内定を得た企業の内訳を見ると、インターンシップを実施した企業の比率が前年よりも高まっている(53.1%→61.1%)。コロナの影響で対面の説明会などが中止になり、3月以降の母集団形成が困難な企業において、インターンシップ参加者に対し優先的に選考を進める動きが強まったことが想像できる」(ディスコ キャリタスリサーチ上席研究員・武井房子氏)