8割の企業が採用数「予定通り」
WEB採用は大企業ばかり?

 一方で、マイナビが緊急事態宣言後の採用活動への影響を調べた「2021年卒 企業新卒採用予定調査」によると、82.6%の企業は採用予定数を「当初の予定通り」と回答するなど、多くがコロナ禍でも計画通りの採用活動を継続する意思を持っている。

 そうなれば、インターンシップ参加者の選考だけでは採用予定数に達しなかったり、そもそもインターンシップを実施したりしていない企業も少なくないだろう。そこで劇的に増加したのが、WEB説明会やWEB面接を行う企業だ。

 では、どれくらいの企業がWEBで採用活動を行っているのか。前出のマイナビの調査によると、最初に宣言が出された7都府県では、会社説明会を当初のスケジュール通り「対面」で実施すると答えた企業は23.7%に対し、「WEB」で実施すると答えた企業は39.3%と、対面をWEBが上回った。面接についても、当初のスケジュールで「対面」によって行う企業は23.3%に対し、「WEB」は32.5%と上回った。

 とはいえ、大企業と中小企業ではその対応に大きな差がある。対面の説明会は、従業員1000人以上の大企業では13.8%に対し、300人未満では28.2%。WEB説明会は、従業員1000人以上の大企業では49.5%に対し、300人未満では33.3%と大きな差がついた。

「大企業ではWEB化が進んだ一方で、中小企業ではコストや人材の面で対応が難しい実態が調査からも明らかになっている。そうすると、中小企業では採用活動をストップせざるを得ない状況もあるようだ」(マイナビ編集長・高橋誠人氏)

 また、「採用担当者からはWEB説明会は他社との差別化がしづらいといった相談もある」(武井氏)というように、似たり寄ったりの内容になるケースも少なくない。対面の説明会とは異なる、社風や雰囲気が感じられる工夫が今後求められるようだ。

コロナ禍で学生の二極化鮮明に
SNSを見てやる気を失う学生も

 一方で、学生はコロナ禍でどのように就職活動を行ってきたのか。

「4月以前にインターンをしていた企業などから内定を獲得している学生と、3月から就活を本格化した学生で二極化が起きている」

 こう話すのは、マイナビ編集長の高橋氏。特に後者の学生については、「大学のキャリアセンターでは学生からの悩み相談が増えている。SNSなどで真偽不明の情報や就活がうまくいっている人のツイートを見て落ち込んだり、企業からのレスポンスが遅いとやる気を失ったりするなど、情報をネガティブに解釈して、就活がストップするケースが少なくない」のだという。