例年ならば、3月の採用情報の広報活動が解禁になってから就活を始めて、企業探しをしても、売り手市場のため内定も意外とスムーズに獲得できたかもしれない。しかし、コロナ禍で合同会社説明会が軒並み中止になったり、母集団形成に苦しむ企業がインターンシップ経由などでの選考を増やしたりしていることもあり、学生は企業選びの機会が減り、採用エントリーもなかなか難しくなっているようだ。

「確かに大手企業ではコロナ禍でも選考が随分と進んでしまっているが、まだまだ多くの企業はこれから選考を行う。今後は、ネームバリューではなく『自分のしたい仕事』を落ち着いて考えて、大学のキャリアセンターなどでオンライン相談をするのも1つの方法だろう」(高橋氏)

6月1日以降の行方は?
内定辞退続出の可能性あり

 コロナ禍で大きく様変わりした就職・採用市場だが、今後どのように推移するのか。6月1日の大手企業の採用解禁後には、もともと内定辞退は起こりやすいが、WEB説明会の増加によってさらに内定辞退が続出する可能性があるという。理由として、大きく2つ挙げられる。

 まず、「選考中辞退の減少」による内定辞退だ。

「WEB面接が増えたことで、移動がなくなってスケジュール調整がうまくいき、例年よりも選考中に辞退する学生が減っていると考えられる。そうすると、大手企業の内定が出る6月のタイミングで、それまでに内定が出た企業の辞退が増える可能性がある」(武井氏)

 もう1つが、「社風や雰囲気が分からないこと」を理由にした内定辞退だ。

「最近では、入社にあたって社風を重視する学生が増えている。しかし、3月以降の選考はほぼWEB経由となっており、志望する会社の採用担当者と一度も直接会えていないことに不安を持つ学生も少なくない」(高橋氏)

 6月以降、大企業などを中心に対面の選考が行われれば、WEB面接だけで内定を得た企業よりも一度でも対面したことのある企業を選択する学生が増え、内定辞退が増加する可能性もある。

 マイナビが「就活における『対面』または『WEB』での実施について、考えの近いもの」を学生に聞いたアンケート(3月実施)によると、「全行程WEB化」を選んだ人16.3%に対し、「会社説明会までWEB化」49.2%、「一次面接までWEB化」17.5%という結果となった。

 緊急事態宣言後に学生の意識が変わった可能性もあるが、誰しも「会社の雰囲気」を実際に見てから入社を決めたいというのが本音だろう。企業側もWEB面接だけでは不安で、最終面接は対面で行う予定のところも少なくないようだが、これから内定辞退を避けるためにも、うまく対面とWEBをミックスさせて選考を行うか、WEB上でも社風を感じさせたり、内定者フォローを適切に行ったりする工夫が企業側には求められている。