コロナ後の中国の内情が日本に暗示する、景気回復への険しい道のり一足先に経済活動を再開した中国だが、足元の経済指標はどうなっているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新型コロナの感染者数を比較
国によって状況は異なる

 新型コロナウイルスの感染者数は、中国や台湾など含めた東アジアで総じて沈静傾向を辿り、日本でも東京など一部の大都市圏を除き、緊急事態宣言が解除されるほどに減少している。また欧州でも、感染者数が1000人を下回るペースを保つ国が増えている。こうした地域では、感染者の減少という実績を積み重ねつつ、経済活動の制限を少しずつ解除している。また、これまでのところ、経済活動の再開によって、収拾がつかなくなるほど感染者が再拡大している国は、イランを除いてない。

※イランでは、1日あたりの感染者数が1000人を切り始めた4月中旬から、移動や経済活動の制限が解除され始めたが、5月に入って感染者は再拡大しており、足元では2000人程度にまで加速している

 一方、米国や英国は、東アジアや日本、欧州に比べると感染者数の減少ペースの遅れが目立つ。米英ともに、移動制限などの解除により感染者数が再拡大するリスクは残っていることから、経済活動の制限を緩和するテンポも慎重にならざるを得ないだろう。

 新興国では、感染が急激に蔓延している地域もある。ブラジルやロシアでは、感染者の増加ペースが加速傾向を辿っている。比較的早い段階から移動制限などの措置を講じたインドでも、感染者の増加ペースは徐々に加速している。世界全体で見れば、3月下旬以降、1日あたりの感染者数は8万人±2万人での推移が続いている。感染者が減少傾向を辿っている地域がある一方で、加速している地域も存在するということだ。