国会前検察庁法改正案に抗議するため国会前に集まった人たち。結局、首相の安倍晋三が目指した改正案は、世論の反発で今国会での成立断念に追い込まれた Photo:JIJI

 首相の安倍晋三が目指した検察庁法改正案は、世論の反発という大きなうねりの中であえなく今国会での成立断念に追い込まれた。18日午後2時40分すぎ、自民党幹事長の二階俊博が側近の幹事長代理、林幹雄を伴って首相官邸に現れ、安倍との会談に臨んだ。結論は早かった。

「国民の理解なしに前に進めることはできない」

 安倍・二階会談を受けた自民党の手際の良さも驚くほどのものがあった。二階は直ちに公明党幹事長の斉藤鉄夫と会談して安倍との合意内容を伝えた。それだけではない。自民党国会対策委員長の森山裕が立憲民主党の国対委員長、安住淳に伝達した。

「(検察庁法改正案は)再三断念すべきだと言ってきたので、与党の対応は了としたい」(安住)

 これを受けて野党4党は衆院に提出していた、法案審議の担当閣僚である行政改革担当相の武田良太に対する不信任案を取り下げた。一気呵成に事が動いた。流れるような運びに周到な準備と根回しがあったことをうかがわせた。