銀行vsコロナ#2
Photo by Takahiro Tanoue

新型コロナウイルスの感染拡大は、銀行にも打撃を与えかねない。日銀は4月に発表した金融システムレポートで金融システムが「強いストレスを受けている」と警鐘を鳴らした。生産と消費の両面から実体経済を奈落の底に突き落としたウイルス禍は、銀行に波及するのか。特集『銀行vsコロナ』(全12回)の#2では銀行に潜むリスクを検証する。(ダイヤモンド編集部副編集長 布施太郎)

頭をよぎるリーマン危機の再来
銀行の損失はどこまで膨らむのか

「コロナ危機でどれだけ損失が出そうなのか探れ。よもや増資なんてことはないだろうな」――。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ある外資系証券の金融担当幹部は、部下にこう指示を飛ばし、メガバンクや一部の地銀を回らせた。3月のことである。

 この幹部の頭をよぎったのは、2008年秋に勃発したリーマンショックだ。米国のサブプライムローンをきっかけとした金融発の世界経済危機は、震源地の米国の金融機関だけではなく、邦銀も奈落の底に突き落とした。

 08年度の大手行の不良債権処理損は合計2兆4400億円、取引先企業の持ち合い株の減損損失は同1兆5300億円に上り、巨額の損失を背景に最終損益は前年度の1兆9300億円の黒字から、一挙に1兆5600億円の赤字に転落した。

 欧米の銀行に比べ、もともと脆弱と指摘されてきた自己資本は大きく毀損し、各行が雪崩を打って突き進んだのが大規模増資である。08年から10年にかけて3メガグループはそれぞれ2回にわたる増資に踏み切り、三菱UFJフィナンシャル・グループは約1兆8000億円、三井住友フィナンシャルグループは約1兆7000億円、みずほフィナンシャルグループは約1兆3000億円をかき集め、自己資本を積み増した。

 自己資本が薄くなり、貸し出しのリスクが取れなくなった銀行は、取引先企業に対して資金を貸し渋っただけではなく、強引な回収に走る“貸し剥がし”さえ横行した。「銀行本来の役割を果たしていないと、顧客からも批判された」と、ある大手行の役員は振り返る。市場では、メガバンクに対する公的資金注入の可能性さえ取り沙汰された。

 今、銀行界が懸念するのは、前出の外資系証券幹部が危惧したのと同様に、銀行にリーマン・ショックが再来するかどうかである。