三菱・三井・住友財閥グループの真実#6

三大財閥グループの今を大解剖する「三菱・三井・住友 財閥グループの真実」特集。第5~8回は「同業種の宿敵対決」シリーズをお届けする。第6回は銀行を取り上げた。(週刊ダイヤモンド2019年7月20日号を基に再編集)

三井住友銀行が法人営業部門で
人事を抜本的に改革

 かつての旧住友銀行(現三井住友銀行)の持ち味でもあった、“国内モーレツ営業”が息を吹き替えしている。

 まず、法人営業部門の人事を抜本的に変えた。通常、銀行の営業マンは融資先企業との間で癒着が起こらぬよう、2年で配置換えとなる。だが、今期からは「中堅企業担当」の法人営業部長を中心に、3年目以上の就任も本格的に進めることにしたのだ。「2年ごとにコロコロ担当が代わっては、中堅企業の経営者と深い関係など築けない」(三井住友銀行幹部)からだ。

 三菱UFJ銀行などのライバルが、非効率だからとおろそかにしがちな「中堅企業」にターゲットを絞ったのは画期的なことだ。

三菱UFJ銀行とは正反対
店舗削減をしない訳

次世代店舗デジタル化の進行等を受け、三井住友銀行は2020年3月までに個人向け店舗を「次世代店舗」に転換する Photo:Diamond

 それだけではない。三井住友銀行は、個人営業強化にも踏み切っている。例えば、個人向け店舗の変革だ。待ち時間ゼロで用事を済ませられる予約制の店舗を展開したり、ATMの操作方法を説明しやすいよう、1台当たりのスペースが広い機械を導入したりと、来店客のニーズの変化に柔軟に対応しつつある。

 インターネット取引の拡大や少子高齢化のあおりを受けて、来店客数が減った国内店舗の維持は、どの銀行にとっても頭痛の種だ。

 実際に、三菱UFJ銀行は2024年3月期までに出張所を含む本支店数を18年3月期比で35%も減らす方針を明らかにしている。