タイの子ども
タイの民間病院で誕生した新生児(ラマ9世病院提供)

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、東南アジアのタイで民間病院を中心とした医療水準の“高さ”に関心が高まっている。医療設備も欧米並みで、かねてアジア一円の富裕層らが熱心に医療観光(メディカルツーリズム)に訪れていたところ、ウイルスの早期収束で一気に注目されるようになったのだ。その一番の背景にあるのが、タイの医療現場で見られた低い死亡率、低重症化、そして徹底した感染抑制体制だった。海外から「新型コロナの治療ならタイへ」とツイートされるまでとなったタイの医療。その現状をお伝えする。(在バンコクジャーナリスト 小堀晋一)

平時に戻りつつある
タイの感染状況

 タイでは4月27日以降、新型コロナウイルスの新規感染者が1桁台で推移。死者もこの間計4人という低水準となり、ウイルスの封じ込めに成功している。このため政府は徐々に経済活動を再開。5月3日からは飲食店や美容・理容店、市場等の営業を再開させ、酒の小売販売についても容認した。

 その後の経過でも大きな混乱や感染の再拡大もなかったことから、5月17日からは第2次規制緩和として百貨店などの大型商業モールなどの営業にも踏み切った。このままの状態が継続されれば、6月中にも密室性の高いマッサージ店やカラオケ、映画館なども順次再開となる見通しだ。

 医療現場でも一時の緊迫した状態が緩和され、病院外に設置された感染者向け特設テント「呼吸器症状特設クリニック(ARI)」なども順次撤去。発熱やせきなど明らかな症状がある人についても、常設の「緊急外来(ER)」が対応をするといった平時の状況に戻りつつある。