「話しかけづらい」「ダラダラしそう」
2大問題を解消する2つの工夫

 そうはいっても、オンラインでのインターンシップには、対面ではないことによるさまざまな問題が生まれるのも事実だ。

「学生側からすると、対面と違ってメンターの姿が見えないため、いつ相談していいのかわからず、『話しかけるハードル』が上がってしまう。また、学生自身も働く姿を見られていないため、自分で時間管理しなければならず、仕事にメリハリがつきにくい」(北島氏)

 そうした問題が出ることを事前に想定していた北島氏らは、大きく2つの工夫を凝らしてインターンシップを開始することにした。

 1つ目が、ツールだ。主に使用したツールは、ボイスチャットアプリのDiscord(ディスコード)、ビジネス向けチャット・コミュニケーションツールのslack、そしてビデオ会議システムのZoomの3つだ。メインのツールはDiscordで、これによって音声でのショートミーティングやちょっとした相談事も気軽に行えるようにしたという。

 2つ目が、スケジュールの中に、意識して「区切り」を入れたことだ。以下のような区切りを入れることで、ダラダラすることを避けて仕事にメリハリをつけたり、メンターなどとのコミュニケーションを取るきっかけにしたりした。

・「朝のあいさつ」(始業の10時から数分間)
・「昼会」…状況報告などを全員で行う(12時50分~13時)
・「デフォルトランチ」…Zoomで一緒に昼食を取る(13時~14時)
・「夕会」…終業時にメンターと1対1対でZoomを使って話す(18時半~19時)

オンライン上での交流にも限界
学生同士の関係構築にハードルも

 こうした工夫によって学生とメンターのやり取りはスムーズになり、最終日の課題の発表はとても内容の濃いものになったというが、それでも課題は残ったようだ。

「話しかけやすいように工夫を凝らしたつもりだったものの、人によってはそれでもコミュニケーションを取るハードルが高いように感じた。また、参加者からメンターなどに質問ができる座談会をビデオ会議システムで行ったが、大人数の際はその中の2~3人ずつが会話することは難しく、それは対面と大きく違う点だと気がついた。

 そして、通常の対面式のインターンシップであれば、参加した学生が数人で帰りに飲みに行ったりするというケースもあり、学生同士のコミュニケーションも生まれやすいが、それもオンラインだとなかなか難しいようだった」(北島氏)