「部下がさぼっていないか心配」
不安に思う管理職も約6割に
一定の効用を認めながらも、「できればテレワークをしたくない」と思う背景には何があるのか。実際にテレワークを経験した管理職と一般社員は、それぞれに不安を感じているようだ。
まず、同調査で管理職に聞いたテレワーク下のマネジメントの不安について見ていこう。
テレワークが対面と大きく違うのは、管理職と部下が同じ空間で仕事ができないことだ。そこで、「部下がさぼっていないか心配である」と回答した人は56.9%に上っており、反対に部下を心配する「部下の心身の健康の悪化の兆候を見逃してしまうことが不安である」と答えた人も66.8%いた。どちらも、部下の様子が見えないことに起因する悩みだ。
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一方、部下である一般社員はどんな不安を抱えているのだろうか。テレワーク環境における心理変化について尋ねた項目では、「仕事のプロセスや成果が適正に評価されないのではないかという不安」が「増える」「やや増える」と回答した人は合計で約3割に上るなど、評価への不安が平時よりも高まっていることがわかった。
こうした両者の心理状態に対し、同調査を行ったリクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の藤澤理恵・主任研究員は、以下のように語る。
「管理職は『部下の働きぶりが見えない』、部下は『適正に評価されない』と不安になるのもわかるが、そもそもテレワーク下で管理職が部下の仕事を全部見るのは不可能。
それを補うためにも、テレワーク下ではこれまで以上に、事前に管理職と部下の間で目標やゴールのイメージを共有し、それがわかったら部下が自律的に仕事できるように任せることが大切。そして、部下は管理職に対し、定期的に進捗状況を報告するようにするだけで、お互いの不安は徐々になくなっていくのではないか」
つまり、部下が自律的に仕事をする(セルフマネジメント)よう促す「自立支援型マネジメント」が、テレワーク下では管理職に望まれると考えられる。