預貯金だけで、老後資金の準備をすることは難しくなっている

 もう一つの大きな変化は、「人生100年時代」を迎え、多くの方が資産形成の必要性を意識するようになったことです。

 長生きは喜ばしいことですが、リタイア後の生活が想定より長くなれば、より多くの老後資金が必要になることは間違いありません。

 厚生労働省の試算によれば、「65歳を迎えた日本人が90歳まで生存する確率」は1950年生まれの方なら男性の3人に1人、女性の5人に3人とのことです。

 同様に、1990年生まれの方なら男性の5人に2人、女性の3人に2人は90歳まで生きる可能性があり、女性については5人に1人が100歳まで長生きする見込みなのです。

 超低金利環境が長く続く中、預貯金だけで老後資金の準備をすることは難しくなっています。「投資信託を活用して、時間をかけて資産形成をしてみたい」という人が増えてきたのも当然のことでしょう。

 このような変化をふまえ、『新版 投資信託選びでいちばん知りたいこと』を大幅に改訂した『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』を、このたびダイヤモンド社から刊行することにいたしました。

 本連載では同書の中から、投資信託選びで今いちばんみなさんが知りたいこと、知っておくべきことについて、解説していきます。具体的には、以下の点についてレクチャーします。

・資産運用の意味合いや投資の基本的な考え方、特に「長期・分散・積立投資」の意義について
・あなたがどのくらいの利回りを目標にし、どのタイプの投信にどのくらいのお金を振り分けたらよいのか
・個別の投資信託の選び方
・投信を購入したあとで必要になる定期的なポートフォリオ(保有資産)の管理のポイントや売却のタイミング

 資産運用の有望な選択肢である資信託選びのご参考に、本連載がみなさんのお役に立つことを願って。最後まで、どうぞ、お付き合いください。

朝倉智也(あさくら・ともや)
モーニングスター株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。
主な著書に、『「つみたてNISA」はこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)など多数。