木村花さん
木村花さん(写真)の悲劇は、メディアの倫理にどんな教訓を残したのか Photo:Etsuo Hara/gettyimages

恋愛リアリティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)に出演していた、女子プロレスラーの木村花さん(享年22)が亡くなった。遺書があったことから、警視庁は自殺と見ている。同番組では、木村さんと参加メンバーの男性との間に起きたトラブルの模様が放送された。それをきっかけに、Twitterなどで木村さんに対する名誉毀損や誹謗中傷などの疑いがある書き込みが大量に行われ、自殺との関連が指摘されている。この「事件」の教訓を探る。(ジャーナリスト・作家 渋井哲也)

SNSを利用した番組づくり
が生んでしまった「悲劇」

「生きててごめなさい。良い人じゃなくてごめんなさい。嫌な気持ちにさせてごめんなさい。消えてなくなったら許してくれますか?」(ママ)。

 木村さんはInstagramでこう書いていた。自殺直前の書き込みであることから、遺書的なニュアンスを感じ取ることができる。

 彼女が出演していた『テラスハウス』は、台本がないことが売りの番組。しかし、演出はあったようだ。

「集合したら、撮影前に『どんな設定でどんな方向に恋愛を動かしていくのか』という説明を制作者から出演者に伝えます」

「デートに行く組み合わせなども制作者側の指示通りに動いてもらっていましたね」

 という元スタッフのコメントが、ポストセブン(5月27日)で紹介されている。

 指示に従うかどうかは個人の判断のようだが、従うと出番が増えるということも語られている。つまりは、制作者の意図を素人が忖度して、面白くつくり上げていったわけだ。もちろん、木村さんについても、同じような指示があったようで、同記事には、「昨年のある放送回では、嫉妬を映像で見せる演出に花さんを使いました」とのコメントも載っていた。