革新系の不正は断固庇う文政権

 内政面では元挺対協代表、前正義連理事長で、「共に市民党」から比例代表で当選した尹美香(ユン・ミヒャン)議員についての不正疑惑が噴出している。

 元慰安婦への寄付金を慰安婦のために使わず個人的に流用したこと、政府補助金を適正に申告せず着服したこと、資金の受け皿として個人名義の口座を使ったこと、元慰安婦の憩いの場として購入した不動産購入をめぐる不透明な資金の流れや、娘を米国へ音楽留学させた費用を不正に捻出した疑惑など、枚挙にいとまがない。

 当初これを批判していたのが保守系の政党とメディアであったことから、ユン氏への批判は親日派が慰安婦問題を風化させるための策動だとして、市民団体を動員して批判の矛先を変えようとした。しかし、疑惑が深まるにつれ、与党の中にもユン氏が説明責任を果たすべきとの声が高まっている。

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 それでも、与党幹部は事態の推移を見守る姿勢であり、与党関係者には緘口令を敷いてユン氏批判を封じ込めている。さらに文大統領は、これは与党の問題であるとして、事件から距離を置いている。

 これまでも文政権は、政権幹部のスキャンダルが出るたびにもみ消してきた。今回の流れも同様だろう。しかし今回違うのは、これを告発したのが「被害者中心主義」の主役である元慰安婦であることだ。

 ユン氏の疑惑が出たことから、韓国では市民団体への寄付金が減少しているという。文大統領はかつて市民活動に身を投じていた。そんな文大統領が重視してきた市民活動が資金難に陥ろうとしている時に、曺国(チョ・グク)前法務部長官のスキャンダルをもみ消したようないい加減な対応でいいのだろうか。

 文政権は市民団体からも支持を得て、政権を奪取した。今回のスキャンダルが、文大統領の「終わりの始まり」として記憶される可能性もあるだろう。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)