9月が近づくにつれて、私の原稿や発言のテーマはほぼ一つに集約されてきた。日中国交正常化40周年と釣魚島(日本名は尖閣諸島)問題だ。今年は日中国交正常化40周年に当たる記念すべき年なのだ。

日中両国間は
政治的地震の多発期に突入

 今年の年初、とある講演会で、日中国交正常化40周年を迎える今年の雰囲気は、と訊かれたことがある。そのとき、私は「よくないだろう。これからまだいろいろトラブルが起きるに違いない。日中両国間は政治的地震の多発時期に突入したからだ」と、素直に自分の心情を語った。

 案の定、釣魚島の東京都による買い上げや国有化問題、香港と日本の活動家の釣魚島上陸、さらに中国で起きた抗議デモなどが相次いで起きた。数日前には、丹羽宇一郎駐中国大使の公用車の日の丸が奪われるという事件も発生した。これらの事件はまさに大なり小なりの地震のように、日中両国の外交関係を揺さぶり続け、双方の国民感情にマイナスの影響を与えている。

 最近、とあるメディアに寄稿した私の原稿で、「私は日中関係をよく建築物にたとえて表現する。40年前の建築基準で建てられた中日関係というビルには、今日の実情に照らして、耐震構造を取り入れる改修工事を行うべきだ」、といった趣旨の内容を書いている。

日中間の民間交流は
影響を受けていない

 やや胸をなでおろす話だが、一連の政治的地震が続くなか、日中間の人的交流をはじめとする一連の交流活動やイベントがほとんど影響を受けずに粛々と進んでいる。少なくとも、私とうちの事務所のまわりを見るかぎり、そのように言い切れるだろうと思う。