意識が高い学生と低い学生
コロナで「二極化」がより加速か
しかし、これらの現象は22年卒学生の全体で起こっているわけではない。ここまで紹介してきたキャリアバイトやirootsの登録学生は、22年卒学生の全体像を表しているとは言い切れないからだ。
「irootsの登録者は、MARCHや関関同立といった大学以上の上位校の学生が多くを占める。こうした上位校の学生には危機感がある一方で、中堅校の学生にはあまり危機感はないように感じる。本来は中堅校の学生ほど、内定を取るのが危うくなるのに危機感が薄い。これは上位校の学生と比べて周りに就活へのアンテナを張っている学生が少ないからだろう」(近藤氏)
実際に、幅広い大学の学生が登録をしている就活情報サイト「キャリタス就活」は、6月時点での22年卒学生の登録数が21年卒学生と比べて少ない状況だという。その理由について、同サイトを運営するディスコのキャリタスリサーチ上席研究員の武井房子氏は、以下のように分析する。
「例年は大学3年生の4、5月に大学で行われる就職ガイダンスが、コロナの影響を受けて中止、延期になった。これによって、多くの大学3年生の就職への意識が高まっていないことが大きい。5月から学校が再開され、ようやく就職ガイダンスもオンラインなどで開催され始めているのが実態で、意識が高い層と低い層で、今はかなりの開きが出ているのではないか」
早めの就活スタートが
内定獲得につながる
ここまで紹介してきたように、これから就職環境が悪化していけば、22年卒の就活は21年卒以上に苦しいものになる可能性がある。そうした中でも無事に内定を獲得するためには、早めの就活スタートが必須だ。
「実際、21年卒の学生を見ても、早くからインターンに参加していた学生は、早めに内定を獲得することができていた。早い段階からインターンシップに参加するなどして企業の人と話すことで、消費者としての自分だけではなく、付加価値を提供する側の考え方を持つようになる。そうすると、受け答えや考え方が成熟し、企業側からも評価を得られやすくなる」(武井氏)
インターンシップに参加することで、志望企業であれば内定に一歩近づくのはもちろん、これから志望業界や企業を決める人であれば、仕事に対する考え方が成熟したり、自分がこれまで気付かなかった関心ややりたいことにも気が付いたりするきっかけになる。自分のキャリアを切り開くためにも、まずはインターンシップへの参加を検討してはいかがだろうか。