2つ目の理由が、新型コロナウイルスによる影響だ。景気が悪化することで売り手市場が一転して買い手市場となり、これから就職氷河期になるのではないか、という不安が22年卒学生を突き動かしているのである。

「景況感の悪化を受けて、親や大学のキャリアセンターから『早く就活を始めないと苦労するかもしれない』と言われる学生もいる。しかし、それ以上に大きいのが先輩の影響だろう。

 先輩と言っても面識のある人だけではない。最近では、自身の就職活動の様子をツイッターなどのSNSに匿名で投稿する学生がおり、その見知らぬ先輩をフォローする後輩が増えている。また、誰かの役に立つのではないかとYouTubeで顔出しをして、就職活動について話す学生もいる。そういった先輩学生の声を聞いて、早く動かないとダメだと焦る22年卒学生が増えているのではないか」(近藤氏)

 実際に、新型コロナウイルスの影響を受けた景況感の悪化から、新卒採用数を絞る企業が出てくる可能性は高い。近藤氏は「新卒採用実施企業全体でみると、10~20%くらいの企業で採用を見合わせる可能性があるのではないか」と語り、藤原氏も以下のように分析する。

「今後、企業の新卒採用は厳選採用へ徐々に切り替わっていくだろう。特にメガベンチャーや中小企業は、コロナの影響によって事業規模や、必要な人材が変化しており、採用する人材の定義も変化すると考えられる。つまり、採用後の成果が高い確度で予測できる“即戦力採用”が強化される。従って、新卒一括採用からインターンで一緒に働いた学生を採用する動きが強まるのではないか。

 実際に、ITや通信系企業を中心に、今まで新卒採用と併用していたにもかかわらず、インターン経由の採用のみに絞った企業もある。人事と経営層の距離感や考え方が近かったり、代表の年齢が若かったりする企業では、そうした採用がより増えていきそうだ」(藤原氏)

 こうした状況が加速すれば、インターンシップに参加しなければ、内定を取るどころか、本選考に進めない学生が増える可能性も高いのだ。