新型コロナウイルスのパンデミックについても、やがて元のような生活が戻ってくると考えてはいけない。

 ワクチンが開発されていない現状では、ひたすら「3密(密集、密閉、密接)」を避けて感染を防ぐしか方法はないということで、新しい生活様式、ニューノーマルが提案されている。

 室内では換気を頻繁に行い、密集を避ける。手洗いや消毒を丹念に行い、対面する際はマスクやフェースシールドをつけて2メートルほどの距離を取る、などである。

 だがこれらも一時的な予防措置だとは考えるべきではない。 

 20世紀後半からウイルス性の感染症が頻発している。WHOが把握している動物由来の感染症は200種類以上あり、人々の記憶に新しいものでもエイズ、エボラ出血熱、インフルエンザ、SARS、MERS、ジカ熱など年々新しい感染症が出てくる。

 しかも世界の人口爆発とグローバルな人の動きが強まって、パンデミックが起こりやすくなっている。 

 ウイルスも次第にしたたかになり、新型コロナウイルスは感染しやすく、潜伏期が2週間と長いので、症状が出る前に感染が広がってしまう。

 たとえ、このウイルスへのワクチンができたとしても、変異するだろうし、また新しいウイルスが登場してくるだろう。

 それに備えて私たちの社会や暮らしを根本的に変えねばならないのである。

農耕や牧畜の開始が契機
野生動物や家畜との接触で感染

 それには、私たちの社会がどういった仕組みで成り立っているか、そして人類と感染症はどういったつながりなのかを、過去にさかのぼって知る必要がある。

 感染症は農耕や牧畜の開始とともに登場したと思われる。

 人類は最も近縁なチンパンジーとの共通祖先から700万年前に分かれ、ほとんどの時代を採集や狩猟によって暮らしてきた。

 今から1万2000年前に農耕が始まった頃、地球上の人口は500万~800万人で、村の規模も現代の狩猟採集民と同様に150人程度だった。これでは感染症は発現せず、化石からもその証拠は得られていない。

 それが農耕や牧畜によって定住に拍車がかかり、食物の蓄えができて人口が次第に増加して感染症が発現しやすい舞台が作られた。

 都市ができて人口集中が始まり、産業革命を経て18世紀には10億人に達する。それからはうなぎ上りに人口が増え、19世紀には15億人、20世紀には60億人を超え、現在は76億人を突破している。