同僚を相手に紹介するときも、へりくだらない

・同僚を褒める

 仲間である同僚を承認することも大切です。アイスブレークの際に、同僚を紹介しがてら、さりげなく褒めたいものです。日本人にありがちなのは、若手のことを「まだまだ勉強中ですが」などと、同じ会社の人間を低く見せてしまうことです。

 日本式の過度な謙遜やへりくだりの文化は、海外の方にはあまり理解されません。むしろ、「なぜこの大切な面談に勉強中の人間を連れてきたのか」と不審に思われたり、同僚をけなすような文化にげんなりされたり、逆効果になりかねません。

 グローバル環境で同僚を紹介するときは、褒めちぎるくらいがよいかと思います。若手でまだ実績を出していなくても、積極的な姿勢を褒めることもできます。他人の長所を見つけてきちんと褒めるという所作は、その人の信頼性を上げるだけでなく、あなた自身も好ましい人間として映るはずです。

 なお、学歴については、日本の大学名は海外の人からするとピンと来ないので、専門性や何かの受賞歴があれば、それを積極的に紹介しましょう。

He’s very committed to this project.
→彼はこのプロジェクトに大きくコミットしています。

Aya really wanted to join this project.
→アヤさんはこのプロジェクトに加わることを熱望していました。
*積極性とやる気を示す

She’s one of the best in the industry.
→彼女は業界でベストの1人です。

He’s an expert in statistical analysis.
→彼は統計分析のエキスパートです。

Tom-san just won one of our company’s awards.
→トムさんは最近わが社の賞を取りました。

・自分を褒める

 自分の実績も遠慮せずきちんと言いましょう。「Humble」(謙虚な)と言う英語がある通り、海外でも謙虚であること自体は評価されるので、自慢大会を始める必要はありません。

 ただ、このチームと参加者がベストであることを伝えるには、へりくだりすぎない方がよいのです。 「私は賞をもらったことがあるスーパークリエーターです」などと言うのは抵抗感があるかもしれませんが、「I’ve worked in this field for 10 years.」(→この分野で10年の経験があります)など、自身の実績や実力を伝える方法はいくらでもあります。

 例えば、扱ってきた件数の多さは、あなたが何回も顧客から認められているという大きな勲章で、その割に自慢感が薄い、便利な表現です。

I’ve dealt with problems similar to yours many times.
→似たような問題を何件と扱ってきています。

I’ve solved countless problems like these.
→同じような問題を何件も解決してきました。

I think there are several practical solutions.
→私は、実践的な解決方法をご紹介できます。

 どうしても自分を褒めることが苦手という方は、会社(we)としてどれだけ実績があるかを話すと気が楽かもしません。

Our company has worked in this field for more than 25 years.
→弊社はこの分野で25年以上の実績があります。

We can definitely solve these problems.
→私たちは、このような問題は間違いなく解決できます。

We’re one of the few companies who can solve this type of problem.
→私たちは、このような問題を解決できる数少ない企業です。

 いずれにせよ、グローバルではチーム、相手、同僚、そして自分のそれぞれを承認し、褒め、自信を持たせることで、会議体のプライドを醸成し、皆のコミットを高めていくのです。積極的に褒めていきましょう。

「まだまだ勉強中ですが」へりくだった挨拶は逆効果
児玉教仁(こだま・のりひと)
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。