終電もラストオーダーもない苦しみ
決死の寝たフリ作戦

 デメリットとして、「終電を理由に抜けられない」(32歳男性)という回答もあった。
 
 「よく一緒に飲む相手が連れまわしたがる人で、『そろそろ帰りたい』と思い始めても付き合わされることが多い。それでも『終電があるので』と言うと押し切れるので、こちらも『終電までなら付き合うか』という気持ちでいられた。

 オンライン飲みはやめ時が難しく、それまで通用していた“終電”が使えないので困っている。その人と飲んでいてどうしても切り上げたくなったら断続的に寝落ちするフリをしてしのいでいる」(32歳男性)
 
 涙ぐましい、決死の寝たフリである。相手から「こいつ最近急に飲み途中に寝るようになったな…」と思われているかもしれないが、「自宅だからリラックスできているのかもしれませんね」と弁明はできそうなので、“終電”に代わるオンライン飲みならではの活路が開発されたのかもしれない。
 
 やめ時がわかりにくい、という声はほかにも聞かれた。
 
 「ラストオーダーがないので切り上げ時が難しい。ラストオーダーは場合によって結構ありがたい存在だったのだなと再認識した」(35歳女性)

 ラストオーダーはいわば終了のゴングだ。参加者がどれだけ場にのめり込んでいようと客観的に告げられるそれは、強制的に場を終わらせる力を持っている。これがひとつの区切りとして参加者に共有されているため、参加者もその区切りに向かって場を進行させていく心構えが整う。しかしラストオーダーという区切りが存在しない宴会は、よく言えば心地よい泥沼、悪く言えば不安と混沌となる。

「セクハラ回避」「顔を加工」
とある女性のメリットとは

 「直接的なセクハラを受ける心配がないのがいい。飲み会の席で触ってこようとしたり、帰り道に『今からどこかに行こう』としつこく誘われることもない」(35歳女性)
 
 この女性は取引先の男性らによく愛人契約を持ちかけられるという人物で、「あまたのセクハラも仕事のうち」と割り切りつつも極めて不快であることに変わりはなく、身の安全が保たれるオンライン飲み会を気に入っているようだ。