病院は患者の健康保険証で
医療費の請求先を確認している

 国民皆保険制度を取っている日本では、誰もがなんらかの公的医療保険(健康保険)に加入することを義務付けており、ほぼすべての人が健康保険を利用して医療を受けている。そのおかげで、病気やケガをした時は、少ない自己負担で、必要な医療を受けたり、薬を処方してもらったりすることができる。

 健康保険を使って医療を受ける場合、患者が支払うのはかかった医療費の一部だけで、現在の負担割合は年齢や所得に応じて1~3割。残りの7~9割は、患者が加入している健康保険組合が負担している。

 ふだん、医療機関を受診する場合、窓口で健康保険証の提示を求められるのは、患者負担分以外の医療費の請求先を確認するためで、病院や診療所は社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会を通じて、健康保険証で確認した健保組合に対して、医療費の請求をしている。

 旅先で急に熱が出たり、事故に遭ったりして、健康保険証を持たずに受診すると、医療費の全額(10割)を請求されるのは、医療機関が患者の加入している健康保険を確認できないからだ。

 健康保険証を持たずに受診して医療費の全額を払っても、後日、健康保険組合に対して療養費の請求をすれば、患者負担分を除くお金を取り戻すことはできる。ただし、還付を受けるためには、患者が自ら申請をする必要がある。

 これが平常時における医療費支払いの仕組みだが、今回の九州豪雨のように大きな災害が起きると、避難することに必死で健康保険証や所持金を持ち出せない人も多い。

 災害時の医療費の問題が表面化したのが、1995年の阪神淡路大震災だ。