――ですが、人工知能がそこまで発展したときに、やはり私たちの生活や労働環境が変わって、仕事がなくなるのでは?と不安を抱く人もいます。

 計算プロセスに落とせるものは人工知能にとって代替可能だと思います。ですが、計算プロセスに落とせないものもたくさんあります。それこそ仕事の現場から企業合併の判断まで、総合的な判断をしなければならない局面というものは多々あります。定型業務は人工知能が担えても、総合的で高度な判断は人間が担い続けるでしょう。人間の役目がなくなることはない。

 先の藤井聡太さんの話でいえば、注目の指し手(棋聖戦第2局、後手3一銀)は、最強将棋ソフトが4億手を読んでも出なかったアウトプットです。6億手に拡大して、やっと候補の1つとして出た。藤井さんは当然、6億手を見渡した上で結論としてその手を指したわけではありません。そこには直感が働いています。その直感は、ある種「総合的」なものなんです。

人工知能時代の学びの
「あるべき形」とは

――人工知能がより浸透していくことで、仕事以外のさまざまな生活面にも影響が出そうです。

 特に教育は、変わらないといけないと思います。教育改革は待ったなしです。かつて、産業革命によって機械が普及したときに、失業を恐れた人たちが機械や工場を破壊するラッダイト運動というものがありました。そのとき、一方で教育も大きく変わったんです。

――いわゆる「マニュアルを理解して働ける人を育てる」教育への変化ですね。

 クイズ番組などに見られる「いかに早く正解を言うか」みたいな、正解を出すことを重視するやり方を変える必要がある。

 2009~12年に、僕は「全国高等学校クイズ選手権」のメインパーソナリティーを務めました。出場者の中には、早押しクイズの練習をして当日に臨む人もいます。優勝候補になるチームは大抵、練習している。