政府が認めた外国の医学部でないと
医師免許が取得できない

 さて、日本はどうかということになるが、その話に入る前に先にシンガポールでは二か国協定で日本人医師の診察を認めているといったが、実はもう一つ条件があり、シンガポール政府が認める大学の医学部の卒業生でないと、その基準を満たさないという。

 日本の場合も同じようなハードルを課している。すなわち「一律の基準ではない」としているが、前掲の表のように日本国政府が認めたカリキュラムを持っている大学の医学部卒でないと日本の医師国家試験を受験させないという仕組みなのである。

厚生労働省自ら
「一律の基準がない」としている点が問題

 話は変わるが、日本では医学部人気が沸騰し、医学部への入学が非常に難化していることに伴い、例えばハンガリーなど特に東欧の国の医学部を卒業してEUの医師免許を得た後、日本の医師国家試験を受験するというルートが確立してきている。

「こういったルートが問題である」と、厚生労働省の委員会で話題になったこともあり、下記のように記載されていたが(厚生労働省のホームページ上では赤字で記載されている)、まさに今回は「ここの部分」が問題視されていると思われる。

○ 最近、卒業後に日本の医師国家試験の受験資格が得られる旨認可を厚生労働省から受けていること等を示して、外国の医学校への入学を勧誘する広告を行っている例が見受けられますが、厚生労働省は、外国の医学校を卒業した方から、医師国家試験の受験資格認定の申請があった後に、当該申請者個々人の能力や、当該申請者が受けた教育等を審査することとなっており、海外の医学校等に対し、当該医学部の卒業生への医師国家試験の受験資格を一律に認定することはありません。
○ このため、こうした外国の医学校等を卒業されても、日本の医師国家試験の受験資格が認められないことが十分想定されますのでご注意下さい。

 今回、問題になっている医師の場合、日本の医師国家試験には合格しており、日本育ちの日本人なので、日本語の問題はまったくない。すなわち、少なくとも一定水準以上の医療知識はあり、日本で日本人の患者を相手にして医療を行う能力はあるということだ。

 問題は「日本政府が認め、日本の医師国家試験を受験することができるレベルの国の医学部を卒業していたのか」ということである。

 そこを厚生労働省自ら「一律の基準がない」としている点が、今後の論点になりそうである。

(参考)厚生労働省「医師国家試験受験資格認定について