金融緩和で価格高騰
割高感で売れ行きは悪化

 分譲マンション事業は派手に広告を打つので目立つが、市場はかなり小さくなってきている。その最大の理由は、価格が高くなったことによる購入できる世帯の減少である。分譲価格はアベノミクス以降、金融緩和で高騰し、それ以前の4~5割増しになった。この間、金利が下がったので、住宅ローン返済の負担は軽減されたが、それを差し引いても割高感は否めない。こうして、売れ行きは徐々に悪化していった。

 販売が厳しくなる中で、デベロッパーからは利益率の低さを嘆く声が多く聞こえる。土地代と建築費は高騰すれども、販売価格に上乗せしていたら割高感から売れなくなる。その狭間で、利益率が以前よりかなり落ちている。そこで、構造・設備・仕様のクオリティを落とし、建築費を下げる。華美なモデルルームを廃止し、竣工後に現物売りする事業者も増えた。こうなると、中古の販売と同じような感じになり、モデルルームのような高揚感は生み出しにくくなった。

賃貸マンションの1棟売りは好調
知られざるデベロッパーの事情

 分譲で苦戦を強いられる中、賃貸マンションの1棟売りは好調だ。低金利の恩恵を受け、節税対策として税効果が大きく、法人税を減免されているJ-REITは購入意欲が強い。金利と税制に後押しされる中、市場も好転してきた。賃貸住宅市場は長く続いた好景気から需要が増え、稼働率が上がった。こうなると、家賃を上げることが可能になり、都区部の物件の賃料の値上げ幅は4年前と比較して6~7%アップしている。

 区分所有で実需に売るのは手間がかかるのに対して、1棟売りは最小限の手間で済む。購入者も1社(1人)なので、販売に要する人件費なども少ない。満室にして売るので、モデルルームなどのコストもかからないし、購入者もすでに知っているところが多く、広告費もかからない。