東大式 アイデアがいままでの10倍出せる思考法
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「失敗学」「創造学」のエキスパートである中尾政之・東大大学院教授が、新著『東大式 アイデアがいままでの10倍出せる思考法』の中から、アイデアのアウトプットを増やすための「思考法」を提示していく。今回は、新製品やサービスを生み出す際に、作り手本位なプロダクトアウトに陥らず、買う人の視点までイメージを広げて発想するための「デザイナー思考」について。

顧客の本当のニーズを知るために
「お年寄りと暮らす」東大の授業

 たとえばスタンフォード大学の工学部門で、近年よくいわれるのが、「ハンティング・デザイン・ターゲット」という概念だ。

 端的にいうと「何を作るべきかを、外に出て調べてくる」ということ。ものを作る人はデスクや作業場に閉じこもらずに、「ユーザーの生活に実際に入り込んで、どんなものが求められているかを知るべきだ」という発想である。

 では、この考え方を大学の授業にどのように持ち込むかといえば、フィールドワークということになる。

 だが、街頭でアンケートを取るような手法ではない。たとえば、東大工学部の学生が施設に赴き、お年寄りとしばらく暮らしたりするのである。

 お年寄りと暮らす中で、「コーヒーカップのような日用品は、こういう材質のほうが、お年寄りにも使いやすいんだな」ということを認識したり、階段や家の間取りなど「どうすれば高齢者に優しいか」を学んだりするわけだ。こうして学んだことを、のちの設計や開発に応用していこうという意図である。