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自閉症や広汎性発達障害などは2013年から「自閉スペクトラム症(ASD)」という1つの名称で呼ばれています。近年、この有病率は大幅に増加し、さまざまな影響が家庭や学校、職場などに及んでいます。「自閉スペクトラム症 『発達障害』最新の理解と治療革命」(幻冬舎)より一部要約・抜粋して、いくつかのケースを紹介します。(精神科医 岡田尊司)

発見は早いほどよい

 自閉スペクトラム症(ASD)は、注意して観察しなければ問題に気がつかない比較的軽度な状態から、かつて「自閉症」と呼ばれた重度な状態までを含む、幅広い概念です。重いケースでは早くから発達の遅れがみられるため、気づきやすいですが、軽度なケースほど見逃してしまいやすいと言えます。

 幼児や低年齢の児童の場合、できるだけ早く診断し、療育(発達のためのトレーニング)を開始することが良好な回復につながるため、気になる症状があれば、一日でも早く診断を受け、療育を開始することをお勧めします。確定診断がつかない場合でも、様子をみるのではなく、積極的に働きかけを行うことが大事です。障害が明らかとなって、診断が確定してからでは遅い場合もあります。

 こうした対応がいまでは徹底され、健診のたびに何か問題がないか、保健師や臨床発達心理士が注意を払うようになり、早期発見につながっています。ただ、ときには希望的観測で、「もう少し様子をみましょう」ということになり、半年、一年、時間をロスしてしまうこともあります。家族としては、できれば障害があるとは思いたくなく、発達の遅れを指摘されても、対応を先延ばしにするという場合もあります。しかし、判断を迷う場合は、むしろ疑って行動するということが、この問題については大切です。