国政政党「日本維新の会」が発足
第三勢力への期待に感じる一抹の不安
大阪維新の会が、着々と国会進出への足場を固め始めた。国政政党の立ち上げにおいて橋下徹・大阪市長を党首にすることが決まり、いよいよ次回の総選挙へ向けて維新の会が動き出した。そうした動向を反映して、様々なメディアで「維新の会待望論」が展開されている。
国民が新しい政治勢力を期待することは心情的に理解できるのだが、大阪維新の会の政策運営能力や党首になる橋下氏の政治理念などには、不透明な部分もある。
現在、わが国が直面している経済や近隣諸国との領土の問題等を考えると、実務経験の乏しい若葉マークの政権では対応することが難しい。少なくとも、明確な理念に基づいた“ぶれない”政治スタンスが必要になる。
国民には、単純に期待を先行させるのではなく、冷静に維新の会の実力を見極めることが求められる。
あまり悲観的なことを言いたくはないが、今の我が国の政治は実に頼りない。何ごとに関しても、わが国の政治はリーダーシップを発揮することができず、国民の顔色を見ながら右往左往しているだけにしか見えない。国民は、そうした状況を十分に理解している。
前回の衆院選では、「長く政権の座にあった自民党がダメなので、それに代わる民主党を選択したと」いうのが国民の真意だった。ところが、その民主党政権は、「ここまでひどいとは思わなかった」という声があるほど期待外れの状況だ。
そのため、「自民党も民主党もダメ。だから第三の勢力が必要だ」という論法で「維新の会」に対する期待が高まっているというのが、現在の構図だろう。
しかし、政権担当能力のない政党に国の政治を任せることは危険だ。先行する人気に気を足られて、維新の会の実体を冷静に考えるスタンスを失ってはならない。