大手損害保険各社の国内事業が好調だ。主因は政府の緊急事態宣言によって交通量が急減し、自動車保険の損益が大きく改善したことにある。今後契約者に利益を「還元」すべきか否か、各社が頭を悩ませ始めている。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
コロナ禍でも増益基調
大手損害保険グループ3社が発表した2020年4~6月期の業績は、コロナ禍の悪影響を抑え込みながら、堅調に稼ぎ出す結果になった。
連結ベースでの最終利益(修正利益)は、SOMPOが前年同期比で3割近い大幅増益。東京海上は米デルファイの運用損失が響いたものの、グループ全体では同4%減にとどめた。両グループともに、通期予想では好調な国内事業がけん引する形で、増益を見込んでいる。
MS&ADインシュアランスグループは4~6月期、通期予想ともに前年同期比2割強の大幅減益だが、主因となっているのは16年に買収した英アムリンの最終赤字だ。
アムリンは買収以後、損害率の高止まりなどで赤字が続いており、19年度にはのれん代などで1700億円超の減損処理に追い込まれている。
今期の減益はコロナ禍の影響というよりは、過去の買収による傷みがまだ癒えていないためといえ、国内損保部門だけを見れば前年同期比で増益を確保している。