脊椎脊髄ドックを知っているだろうか。病気の早期発見はもちろん、自分の背骨の状態を正しく知ることで、予防や改善につなげられる。漠然と持っている不安の解消ともなるだろう。

 1954年に産声をあげた「人間ドック」はすっかり定着し、がん、心疾患、脳血管疾患の「三大疾患」で亡くなる確率は下がっている。早期発見・早期治療の大きな成果だ。

 ところが多くの中高年が悩みを抱える整形外科疾患はどうか。肩こりや腰痛から始まり、年を重ねるとともにさまざまな障害と付き合わざるを得ないのだが、多くの人はサプリメントや貼り薬、そして多様な代替医療などに頼っているのが現状だ。その結果、適切な受診や治療の時期を逸して、病気を進行させる、長引かせるなど、いっそう重症化させてしまうケースが多い。

「背骨」は体を支える屋台骨

 腰痛、肩こり、首痛など整形外科疾患の多くは、筋肉も含めて「背骨」に起因する。ところが背骨のトラブルは、生命にかかわることはまずない。人間ドックがこれほどまでに浸透したのは、つねに健康的な体を保つために、生命にかかわる情報を得ることによって早期発見・治療へと生かせるからだ。二の次にされていた背骨が注目されるようになったのは、ここ数年だろう。人生のQOLが求められるようになったことが大きい。

 背骨は脊椎と脊髄からなり、脊椎は体を支える支柱だ。この支柱の中を通るのが脊髄で、手足の運動や感覚を伝えるための重要な伝導路にあたる。体を支える屋台骨の背骨もまた、生命を維持し、健康的な毎日を送るための大事な土台なのである。