打ち合わせは、分かりにくさをチェックする場所

「分かりにくい」と言われれば、話が早い。

どこが分からないか聞いていけばいい。しつこく、と書いたのは、「分かった」と言ってもらえた時も、どう理解しているかを聞いてみるようにしたのです。

グルインでの経験から、「分かった」と言う時も、なんとなく分かったと言ったけど内容が頭に入っていない人や、全く違う解釈をしている人が結構多いことが分かった。

そして相手は自分が誤解しているかもしれないなんて絶対思ってはくれません。こちらから確認しなければ誤解されたまんまなわけです。

日常会話でも後になって「あ、あの時のアレ、そういう意味で言ってたのか」と思うことがたまにありますよね。でもその言葉を聞いた時には、全く疑問を抱かなかった。

誤解があっても会話は簡単に成立します。人はそれぞれ無意識に自分に都合良く解釈して、成立させてしまうものなのです。

また、単語一つにしても人それぞれイメージが違ったりもします。例えば「山」といっても、エベレストのような尖った形を思い浮かべる人、富士山を思う人。

山登りの苦しさを感じる人もいれば、頂上の気持ち良さを感じる人もいる。

長い文章になればなるほどそんな微差が積み重なり、受け取り方が全く違うものになる可能性があったりするわけです。

文章だけでなく、CMのコンテなども同様です。コンテの説明をしていると、予期せぬところで笑う人がいる。

「面白いじゃん」と言ってくれるのはありがたいけれど、よくよく聞くと、全くストーリーを誤解していたりする。

またはその逆に、打ち合わせではチーム全員がその商品や目的を熟知しているからこそ「面白い」と感じてしまう所謂「内輪ウケ」もある。

当然外部の人にはその面白さは分からない。グルインでも、全くそうは思っていなかった箇所で「内輪」だったと気づかされることが多々ありました。

人に見てもらうものを作る以上、誤解されるのはこちらが悪い。そして相手が気づいてくれることはない。

「どうせ俺の言葉なんて誰にも分かってもらえねーのさ」と、良い意味で悲観的になることを強くお勧めしているわけです。

分かりにくさをチェックすることは、正確に伝えられたかチェックすること。そしてそれは、自分の書き方や考え方の変なクセや思い込みに気づくことにもなる。

分かりにくさをチェックすることで、ただその文章が分かりやすくなるだけではなく、知らず知らず自分から変なクセが抜けていき、効果的な言葉や表現を選べるようになるのです。