このように考えてみると、(1)生涯年収の面、(2) 老後の年金額の面、そして(3)家計のリスクコントロール、という3つの視点で、やはり夫婦共働きが最強であることは疑う余地はないだろう。ただし、生活というものは金銭だけで推し量れるものではない。子育てや家事の負担は共働き家庭にとっては決して無視することのできない問題だ。だからこそ、夫婦で家事や育児の分担を行うことが必要であり、冒頭の話のように「最強の老後資産形成は夫が家事・育児をやることである」という発想につながっていくのである。

 もちろん、夫婦共働きが良いことばかりというわけではない。保育園をはじめ、さまざまな社会的コストの負担は増大する。加えて毎月のキャッシュフローが潤沢となるので、支出が甘くなりがちということもあるだろう。しかしながら同じ年収でも1人が稼ぐ場合と2人の稼ぎを合計する場合で比べると税金の額は共働きの方が少なくなるのは当然だ。したがって、それなりに支出管理をすれば、大きな問題にはならないだろう。

退職後の収入の大きさも考慮に入れると
「長く働く」ことも重要

 また、「夫婦共働き」に加えて「長く働く」ということも重要なポイントだ。前述したように冒頭で紹介したレポートで出てきた生涯賃金はあくまでも退職金を含めず、60歳まで働いた場合を基準としているため、60歳以降も働いた場合はさらに金額が増える。現時点で、サラリーマンが60歳以降に働く場合、引退する年齢の平均は男性が68.8歳、女性が66.2歳である(総務省「国勢調査」から)。この年齢まで非正規、フルタイムで働いた場合の賃金の合計は男性の場合で言うと、退職金を含めて4000万円となっている。