第99代内閣総理大臣に菅義偉氏が就任した。菅総理は自民党総裁選の時から自らの政策理念として「自助・共助・公助」を掲げており、これに対して野党は「まず自助というのは政府の役割を放棄しているに等しい」と批判している。筆者はその批判はかなり的外れなものであると考えている。その理由は後ほど述べるが同時に、実は多くの人が「自助・共助・公助」の意味を正しく理解していないのではないかという気がする。そこで本来の意味と、今回の菅総理の意図について考えてみたいと思う。
年金分野からみる「自助・互助・共助・公助」
本当の意味とは?
「自助・共助・公助」、実はこの言葉はずいぶん以前から使われており、特に菅総理が新しく言いだしたわけではない。特に社会保障分野においては「自助・互助・共助・公助」として4つに分けるのが一般的だ。これについては年金、介護、医療等々、様々な分野でこうした区分けによる考え方が存在するが、筆者が関心を持っている年金分野では主に「老後の生活を支える手段及び考え方」として、この4つの“助”が使われている。