文芸春秋に入社して2018年に退社するまで40年間。『週刊文春』『文芸春秋』編集長を務め、週刊誌報道の一線に身を置いてきた筆者が語る「あの事件の舞台裏」。今回はライバルについて。週刊文春と「似たような雑誌」と思われている週刊新潮ですが、実は社風は全然違う。そのあたりを解説しましょう。(元週刊文春編集長、岐阜女子大学副学長 木俣正剛)
「永遠のライバル」だが
新潮と文春の雰囲気は真逆!
『週刊新潮』は間違いなく『週刊文春』のライバルです。私が入社した1970年代後半は、新潮が圧倒的に部数も多く、取材内容も充実していました。「新潮に追いつけ、追い越せ」が私たちの世代の目標だったのです。
似たような誌面だから、似たような編集部だろうと思われがちですが、両社の社風はまったく違います。
文春は社員持ち株制度で社員が社長を決めますが、新潮社はオーナー会社です。人事異動が激しい文春に対して、新潮はずっと週刊新潮にいるという人もいます(今は新潮もだいぶ人事異動があるようですが)。
文春は学園祭のように、みんな遅くまでワイワイ議論しながらつくっていますが、新潮の記者はプロ。自分の仕事が終わったら、さっさと帰宅するので編集部はとても静かなのだそうです。
私が編集長時代、週刊新潮の早川清編集長とのトークイベントがありました。同い年で、同じ時期に同じ業界で仕事をしている、一種の戦友です。